2024年2月15日 確定申告の季節到来!税理士でも誤りやすい事例集

税理士になる方法は何種類かあり、税理士試験を受けて合格する方法以外に、税務署に23年以上勤務した人や他の士業である弁護士・公認会計士も税理士登録できます。

そのため、数多くの税理士も得意な税目、不得意な税目ができてしまいがちです。

所得税は納税者の暮らしぶりの多様性に合わせて、様々な計算方法や法律が作られています。そこで私自身が間違いやすいなと感じたところをいくつかご紹介します。

 

 ◆ 配当等の所得税と住民税の課税方式の統一

 今回の改正項目です。以前は住民税の方を申告しないことにより住民税の最終課税額や住民税の非課税判定や社会保険料算定に有利な選択ができました。

 今回の統一により配当所得の多い人はより慎重に判断することになりそうですね。

 

◆ 減価償却

①減価償却の方法は大きく分けると定額法(毎年同じ金額の償却)と定率法(初期は金額が大きく、年々減少していく方法)とがあります。個人は定額法が原則で、法人は定率法が原則です。しかも、個人は毎年償却が強制適用で、法人は任意適用です。

 

②譲渡所得の計算上、建物の取得費の計算で使う減価償却の耐用年数は事業用以外、要するに居住用の場合は通常の耐用年数の1.5倍の年数で計算します。耐用年数が長ければ償却率も小さい数字になりますので、減価償却費が少なくなり取得費が大きくなります。ということは所得金額が少なく計算されます。

 

◆ 不動産の収入の計上時期

 不動産の賃貸契約は月払いの前家賃のケースが多いですが、個人と法人では計上基準の原則が違います。法人は会計原則に合わせて、家賃の収受にかかわらず月分で計上しますが、個人の原則は契約上の支払日となっています。2月の家賃を1月に受領する契約では法人は2月に収益計上で個人では1月に収益計上が原則です。個人は特例的に一定の要件を満たした場合に法人と同じ処理ができます。

 いずれにしても収受に関係なく収益計上が必要です。貸倒れが生じた場合は個人の所得税法上では事業規模によって扱いが違ってきますので注意が必要です。

 

◆ 医療費控除

 医療費控除はグレーゾーンが多い印象の控除項目です。怪我や病気の治療のためで医師の指示があるものはほぼOKで、予防、美容、健康増進のためのものはダメです。

 実務上ダメなものとして除外することが多いのが人間ドック、ワクチン接種、歯のホワイトニング、AGA治療ですが、これらでも大丈夫なケースもあるようです。

 医療費の補填となる保険金等は差し引かなければなりませんが、差し引くのはその保険金の対象となった医療費からのみですので、医療費より多く入ってきた保険金部分は無視できます。

 

◆ その他各種所得控除

 各種所得控除の大半は申告する納税者自身が実際に支払ったものに限られますが、例えば、小規模企業共済等掛金控除の中のiDeCo(イデコ)で妻名義のものを夫が負担している場合は控除できません。妻が支払いをしていなければ妻も控除できません。妻の国民年金を夫が支払っている場合は夫の社会保険料控除に含めることができますが、これとは混同しないようにしましょう。

 その他、寡婦控除やひとり親控除や障害者控除は漏れやすい控除項目です。プライバシー性が高い部分でもあるので、あえて明らかにしたくないという場合もあるかもしれません。

 

◆ 誤った申告をしてしまったら

 所得税の確定申告は自己申告なので、計算し直した場合の結果によって手続きは変わってきます。

納付すべき税金が増える場合は修正申告の提出、納付した税金が多すぎたので還付してもらいたい場合は更正の請求をします。

 更正の請求は提出期限があり、法定申告期限から5年以内ですので、令和5年分の更正の請求は令和11年3月15日までです。

 

◆ まとめ

所得税の法律は納税者個々人の生活事情を想定して様々に変化・多様化してきた結果、年々複雑化してきています。国が納税者の生活を重視した結果ともいえますが、ルールを理解して守る納税者の負担も増えています。双方の立場を理解しながらお互いに尊重しあう姿勢は穏やかな暮らしにつながります。

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  山内 晃

専門分野: 

 法人税、所得税、相続税等の税務全般、会計コンサルティング  

主な資格: 

 CFP®・1級FP技能士、税理士、日本商工会議所簿記検定1級 

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