2023年2月1日 ライフプラン・家計における給付金の活用

 

コロナ禍、過去の給付金を確認しつつ政府の今後の対応を注視してみましょう!

 家計相談をするうえでコロナ禍の中、給付金についてアドバイスする機会が増えました。しかし給付金は今に始まったことではなく、過去の給付金を流用し応用した形でコロナ禍での家計救済対策として行われています。そうした状況を確認しつつ今後について考えてみたいと思います。

 

◆ 給付金の概要

 コロナ禍以降、住居確保給付金(期間限定対象拡大)・生活困窮者自立支援金といった各種給付金事業が展開されてきました。ではこれらの給付金といった処置はいつから行われているのでしょう?そもそも、根底となる住居確保給付金も始まりは平成27年(西暦2015年)の前年の生活困窮者自立支援制度の発足に遡ります。

この平成26年(西暦2014年)が給付金制度の始まりといえるかもしれません。この年もう一つの大きな出来事は消費税5%⇒8%へのUPです。

消費税引き上げによる影響を緩和するため所得が少ない方に対して制度的な対応を行うまでの間の、暫定的・臨時的な措置と位置付けられています。

 

◆ 具体的な臨時給付金等の変遷

では過去どのような給付金があったのでしょうか、概要を上げてみますと、対象者は住民税非課税世帯一人につき

1.年金生活者等支援臨時福祉給付金・・・・・平成26年度(30,000円)

2.平成26年度臨時福祉給付金・・・・・・・・10,000円(年金や児童扶養手当受給者+5,000)

3.平成27年度臨時福祉給付金・・・・・・・・6,000円

4.平成28年度臨時福祉給付金・・・・・・・・3,000円

5.臨時福祉給付金(経済対策分)・・・・・・15,000円(平成28年度臨時福祉給付金支給対象者)

平成28年度分迄、平成30年3月を以って支給終了となっています。

平成29年度からはありません。

その後、

令和2年のコロナ禍で全国民一人当たり10万円

令和3年度及又は4年度に、住民税非課税世帯、家計急変世帯:臨時給付金10万円

そして、令和4年度、住民税非課税世帯及び家計急変世帯:緊急支援給付金5万円

がありました。

 

◆ その他

・令和元年10月、消費税10%にUPしたタイミングで年金生活者支援給付金が開始

 (年金等年間所得がおおよそ88万円以下の方、遺族年金、障害年金受給者が対象)

 そして、コロナ禍における生活困窮者向け給付として(詳細は自治体HPを参照ください)

・これまであった失業者向け(離職後2年以内)住居確保給付金を、コロナを要因とする減収世帯(基準金額は生活保護

 基準対象外ギリギリ程度以上の方*資産要件は別)まで、拡大が令和2年7月から始まり、段階的に対象者を削減しながら

 令和5年3月まで継続

・収入金と条件が住居確保給付金トほぼ同様の生活困窮者自立支援金が令和3年10月から令和4年12月まで

 (社協のコロナ禍による貸付制度利用者、又は相談しても利用できなかった方が対象)

 

この二つの給付金は3か月間の期間で、その後状況により3か月単位で延長又は再支給といった調整がされています。

いずれも就職活動や収入回復のための活動報告が毎月提出必須です。

 

◆ 給付金全般における検討

 給付金全般について羅列したような感もありますが、最初に挙げた臨時給付金関係は、対象の方向けに自治体から案内通知が出され(年金生活者支援給付金は年金事務所より)返送する形式で支給がされ、案内に目を通しさえすれば受給できました。

しかしながら、コロナ禍における、住居確保給付金の対象拡大、社協の貸付基準の緩和と緊急小口といった追加貸付制度は個別に通知されたものではなく、自治体や社会福祉協議会に相談されて初めて知るケースがほとんどで、必要以上の周知はなされませんでした。

 わかりやすく言えば、相談した方、相談を目的に自治体のHPを見て知った方のみが利用することができた。という結果になったことは否めません。

 もちろん、一時的とはいえ臨時給付金と異なる、このような継続的な給付は自立を目的としたもので、家計相談をするうえでも自立を支援するため、という案内はくどいくらいにしていました。結果、利用者が給付を受けている間に再就職し、自立していかれた方が多くいます。半面給付に頼ってしまいどうしたら延長できるのか、再支給してもらえるのかにばかり気を取られている方も少なくありませんでした。

 

◆ 今後に向けた見解とまとめ

 今後どのような事態が起こるかわからない世の中、政府でも検討していることがあるという認識に基づいて必要な情報収集、相談が必要。ということが言えることはもちろんですが、今回の件で家計相談を対応する立場として感じたことは、趣旨を明確かつ厳格にしたうえで、もう少し制度の周知、利用の説明がなされたら、という思いです。

コロナ禍による追加支援は一通り落ち着き、その後従来の生活困窮者自立支援制度の基本にのっとっての支援のみになると思われますが、『ご自分だけで悩まず、相談することが必要。ということはお伝えしたいと思います。自身の成年後見人としての経験からも言えることですが、行政手続き、減免などの支援は申請主義。相談して初めて得られる情報がどうしてもある』というのが現状です。

 

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)     山口貴之  

 専門分野成年後見、遺言書及び遺産分割協議書作成など相続全般、

      各種トラブル及び手続(債務整理、行政手続き)相談窓口対応

  主な資格AFP・2級FP技能士、行政書士、3級知的財産管理技能士

    日本愛玩動物協会認定:2級愛玩動物飼養管理士

    金財:個人情報保護オフィサー・コンプライアンスオフィサー 

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