2021年12月15日 米国中流家庭のように資産1億円をもつ(20歳台編)

  

 このコラムに寄稿している「米国中流家庭のように資産1億円をもつ」のシリーズ第4弾、20歳台編です。20歳台の超長期投資に触れる前に、最重要ともいえるポイントについて、まずお話しします。

 

◆ つみたて投資(売るときもタイミングにとらわれない投資手法を提案します)

 株式、投信の投資では、皆さん、「いつ買えばよいか」「いつ売ればよいか」とタイミングを気にします。つみたて投資でも、多くの方が、同じことで悩みます。

 『コツコツと積立てたのは良いが、つみたてが終わった時に、リーマンショック級の大暴落が起きていたらどうしよう』と売るタイミングについて不安になります。

 過去3回のコラムで、実は、その悩みに対する対応法を提示してきたのですが、お分かりになるでしょうか。

 

そう、運用を続けながら「定期取り崩し」です。つみたての逆で、毎月定額を取り崩していくのです。

 

 運悪く大暴落が始まり、元本割れとなり損切状態であったとしても、それには頓着せずに、定額で取り崩していく。それも、取り崩しの期間も、「超長期」、20-40年という期間で取り崩していくのです。

 超長期に取り崩すことを前提にすると、およそ10年に一度おきている大暴落も一時的な出来事としてやり過ごすことができます。

 

◆ 20歳台の方は、80年という期間が味方をする

 20歳代の方は、人生100年時代ですので、100歳までに70-80年という年月があります。

最初に、楽観的な市況パターンでのシミュレーション結果を紹介します。

 20歳台から積み立てを始めるという前提なので、つみたての金額は、月1万円とします。わずか1万円と思う方も多いのではないでしょうか。

 80年超長期つみたて投資の場合、わずか1万円のつみたてでも、驚くような結果が出ます。

まず、最初の40年間の積立の期間の終わりには、積立元本480万円に対して、評価額が、約2000万円となりました。2000万円問題が、1万円の積立で解消できるかもしれないのです。

 65歳以降40年間に渡り、積立金額と同じ、1万円ずつを、毎月取り崩していくとして、105歳で、残資金の評価額が、1億円を超えます。

 90歳過ぎて1億円はいらない、とつぶやいている方も多いと思います。取り崩しの金額は、状況により、調整すればよいわけです。

ただ、毎月の取り崩し額を増やすにしても、大事なことは、「定額で、長期にわたり取り崩す」という点を守るということです。

 

 

◆ 厳しい市況が繰り返すとどうなるか

  前回(第111回)のコラムでも使った厳しい株価パターンでどうなるか。

積立金額は、企業型確定拠出年金(DC)の平均的な積立額であり、また、つみたてNISAの限度額に近い3万円を積立の金額とします。

 

 元本割れしている期間が、かなりある点は気にすべきです。その難局を乗り越えられる金融力を持っていることが大切となります。

 ともあれ、積立期間である40年後に、つみたて元本1440万円に対して、2500万円を超える評価額になっています。

 その後も、リーマンショック級の大暴落が10年ごとに起こるということで、評価額は乱高下しますが、月々3万円を取り崩していって、40年後の105歳の時、残金の評価額が、1000万円を超えています。

 

 日本の経済成長を悲観的にとらえ、株価は、現状はほぼ現状維持し、10年ごとに少しだけ株価上昇するという前提が成り立ちさえすれば、合計80年間では、投資元本以上の資産を確保できるということになります。

 

 この厳しい条件下でも65歳で、2000万円を超える資産を確保できる可能性があるというのは、ちょっと希望が持てると私は感じています。楽観的になれと強制するつもりは毛頭ありませんが、日本と世界の経済成長と株価の歴史を知った上で、将来を予測するということは大切だと思います。それが、資産形成の羅針盤にもなりうるということです。

(つづく)

 

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   奥田健一 CFP®

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とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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