2020年3月15日 2020年4月より新しい「給付型奨学金」がスタートします!

 

 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、返還が必要な「貸与型奨学金」と返還が不要な「給付型奨学金」があります。
 今回は、2020年4月より新しい制度でスタートする「給付型奨学金」について分かりやすく解説します。

 JASSOが公表している「平成28年度学生生活調査結果」によれば、JASSOの奨学金に限らず奨学金を受給している人の割合は、大学(昼間部)で48.9%、短期大学(昼間部)で52.2%となっており、高校卒業後に進学する学生の約半数が何らかの奨学金を利用しています。
 このような現状から、子どもを大学等に進学させたいと考える家庭であれば、教育資金の準備段階で奨学金についても知っておいたほうが良いでしょう。


早速、JASSOの奨学金(「貸与型奨学金」と「給付型奨学金」)の特徴からみていきましょう。

 

◆貸与型奨学金
 対象となるのは、国内の大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)に在学する学生・生徒です。貸与型奨学金は、学力基準と生計維持者の家計基準を満たす場合に利用でき、第一種奨学金(無利息)の方が第二種奨学金(利息付)よりも基準が厳しくなっています。

 

(1)第一種奨学金
 無利息ですので、借りた額を将来返還することになります。返還方式は、貸与総額に応じて月々定額を返還する「定額返還方式」と、前年の所得に応じて毎月の返還額が決まる「所得連動返還方式」から選択することができます。

 

(2)第二種奨学金
 在学中は無利息ですが、貸与終了後から利息が付く奨学金です。利率の算定方法には、貸与終了時の利率が返還完了まで適用される「利率固定方式」、返還期間中おおむね5年ごとに利率が見直される「利率見直し方式」の2種類があり、いずれの方式でも利率は年3%が上限と決められています。2019年3月に貸与終了した場合の貸与利率は、利率固定方式の基本月額で年利0.14%、利率見直し方式の基本月額で年利0.01%となっており、一般的な金融機関の融資利率よりも低くなっています。

 貸与月額は、学校の種類別に定められた範囲内で指定するか、設定されている複数の金額から選択します。一定の要件を満たしたときは、貸与月額の増額も可能です。また、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)を申し込んだものの利用できなかった学生・生徒は、第一種奨学金や第二種奨学金に追加して「入学時特別増額」の貸与を受けることもできます。

 

◆給付型奨学金
 意欲と能力があるにもかかわらず、経済的事情により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、2017年度に先行実施され、2019年度は大学等に進学した18,915人に採用されました。低所得世帯に限った制度であるため、対象者が少ないことを問題視する声がある中で、2020年4月に進学する学生からは低所得世帯だけでなく、それに準ずる世帯に拡大されます。家計基準を満たしていれば、成績だけで判断することはせず、レポート等で本人の学ぶ意欲が考慮されます。進学先の大学等は、この制度の対象校として国または自治体の確認を受けた学校に限られます。
 私立大学に進学して自宅以外から通う場合は、年額約91万円の奨学金が給付されることになります。予約採用(進学前の事前予約)は2019年6月から開始されていて、対象大学等は文部科学省の以下のホームページに公表されています。
https://www.mext.go.jp/kyufu/support_tg.htm


<2020年4月よりスタートする新しい「給付型奨学金」>
 2020年度進学者から実施する新しい給付型奨学金制度は、消費税を財源とする高等教育の就学支援新制度のメニューのうちの1つで、大学等の入学金と授業料が減免される制度です。制度の詳細は日本学生支援機構のホームページで確認することができます。

日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/index.html
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kyufu/index.html


条件に該当するようであれば、家庭の教育費負担の軽減になりますので、早目に確認してみるとよいでしょう。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  左右木 伸也  AFP

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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