2018年8月2日  人生の二大支出・・・「教育支出」と「住宅関連支出」のバランスをどう考える!?

 

 「脳は同時に物事を処理できない」。人は一つのことに集中すると、他のことは眼中に入らなくなることが往々にあります。
例えば、住宅取得後のローン返済計画で頭がいっぱいになり、子どもの高校・大学進学と教育資金とのピークが重なり、慌てて「資金繰り」をどうしようかと悩まれる方は少なくないのではないでしょうか。あなたは大丈夫ですか?

 

●前もって予測できる教育資金と住宅資金の「お金」は、「貯める期間」と「使う期間」が想定可能です。
 人生の三大資金(支出)といわれる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」は、前もってある程度予測可能です。特に、40歳・50歳代における「教育資金」は計画的に貯蓄しなければ、なかなか作れるものではありません。と同時に、「住宅ローン返済」が始まれば、年間支出額は増加します。悩めるところです。

 

●お悩み解決のために、まず教育資金の備え方を検討します。
  教育資金の貯蓄計画は、いつ・いくら必要なのかを把握し、中学、または高校卒業までの教育支出は、貯蓄の取崩しではなく生活費の中から工面するようにしましょう。

 

●教育資金の「貯める期間」と「使う期間」を想定しましょう。
  例えば、18歳までに300万円を貯める計画を現在のお子様の成長過程から検討します。
①幼稚園・保育園入園前は、最も貯め時です。教育資金の積立を始めるとともに、出産祝いや出産育児一時金、児童手当、お年玉など、 子どものために受け取ったお金は貯蓄(学資保険含む)に回すようにしましょう。
② 幼稚園・保育園の時期は、入園前と違って貯蓄は減りますが、それでも積立は続けましょう。
③ 小学校時代。特に公立の場合、学校支出は多くはありません。貯め時といえます。
④ 中学・高校時代は、塾などの教育関連支出の出費が増えるため、貯めにくい時期といえます。
自治体によって「高校授業料無償化」や「就学支援金支給」などの制度があるので確認してください。(県立高校の授業料・就学支援金・入学検定料・入学料並びに諸会費について:出所:神奈川県HPhttp://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f7102/)
⑤ 大学生の時期は、「使う期間」のお金が最大になります。この期間を「照準(ターゲット)」に貯蓄を計画的にしましょう。
以上、ライフイベント表から「貯める期間」は、幼稚園~小学校時代の合計9年間といえます。この時期にしっかり貯められるよう、心掛けたいものです。

 

●奨学金制度を利用
  18歳頃を「照準(ターゲット)」としても目標額に達しない場合には、大学生(高校生)になってから「奨学金」の利用を検討しましょう。
①ステューデント・ローン(教育ローン)
 「国の奨学金」と呼ばれている独立行政法人日本学生支援機構(以下、日本学生支援機構)の貸与型の奨学金1種・2種が代表例です。借りる際には、返済計画を立てておくのがポイントです。奨学金の契約は奨学生本人です。セーフティネットは親が担うとしても、借りたら返すことを念頭に、子どもとよく話し合っておきましょう。
②スカラーシップ(給付型奨学金)
  平成29年度から始まった給付型の奨学金です。日本学生支援機構のホームページなどで確認してみてください。(日本学生支援機構:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/)
また、各大学によって独自の奨学金制度があります。学生課などで相談しましょう。
③奨学金以外の教育ローン
原則として、親が借りることになります。身近な金融機関(銀行・信用金庫・ろうきん・JAなど)で相談してみてください。

 

●住宅ローンと教育資金のバランスをうまくとる方法は?
 よくあるアドバイスで、「住宅取得計画」では、「借入額は年収の5倍まで」、「ローン返済額は収入の25%まで」などといわれていますが、これはあくまでも一般論です。年齢・家族構成・収入・貯蓄額など人それぞれです。また、将来において収支の変化が起こるので、一般論では計画出来ません。
 ではどうすればいいか・・・住宅購入計画と教育資金計画を盛り込んだ「ライフプラン」を作成します。自分自身の予算案を盛り込んでシミュレーションし、ライフイベント表・キャッシュフロー表を作る以外にありません。
例えば、日本FP協会のホームページで「便利ツールで家計をチェック」※1という項目があり、順番に入力していけば無料で作成出来ます。有料とはなりますがファイナンシャル・プランナーに相談する方法もあります。
ご自分のライフプラン表を作り、「ムダ・ムリ・ムラ」を見直して将来の資金繰りを予測し、「住宅ローン」「教育資金」両方のバランスが取れるよう計画してみてください。
※1 日本FP協会:キャッシュフロー表「便利ツールで家計をチェック」:https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  市田 雅良 (ファイナンシャルプランナー)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

この内容は2018年4月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。 

 

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