2018年6月3日  共働き夫婦が住宅ローンを組むときに考えておきたいこと

 

   住宅を取得する際に、多くの方が住宅ローンを利用されていますが、今回は、共働きのご夫婦が住宅ローンを組む時に、考えておきたいことを取り上げてみたいと思います。

 

<夫婦がそれぞれ、住宅ローンを組む場合>
 夫、妻ともに収入があり、融資対象の条件にあえば、夫、妻それぞれで住宅ローンを組むことができます。住宅の名義は共有になり、夫、妻が拠出した自己資金額やそれぞれの住宅ローンの融資額の割合が、共有名義の割合になります。夫婦がそれぞれ住宅ローンを組む場合のメリットとしては、税額控除の住宅ローン控除が、夫、妻、それぞれに適用になり所得税が減る点、そして、住宅売却の際には、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が2人分適用されるので、最高6,000万円までの譲渡所得に対して税金がかからないことです。
 一方、注意すべき点は、住宅を取得後、夫、妻、どちらかに収入がなくなった時です。よくある例としては、当初は共働きの予定だったのが、その後、妻が育児等で専業主婦になる場合で、妻の返済額を夫の収入から返済することになると、夫から妻への贈与とみなされることがあります。
 また、最近は、出産後、子どもが一定年齢に達するまで、時短勤務ができる企業も増えているようですが、妻が時短勤務になると、妻の収入も減収になります。将来における夫婦の収入計画に合わせて、夫婦それぞれの住宅ローンの金額を決定するようにしましょう。

 

<夫だけで住宅ローンを組む場合>
 共働き夫婦であっても、夫だけで住宅ローンを組む場合についてみてみましょう。夫の収入だけで、返済ができ、家計に問題がなければよいのですが、家計的に妻の収入への依存度が高い場合は、注意が必要です。住宅ローンを組む際、団体信用生命保険への加入は銀行のローンでは必須、フラット35でも任意加入できます。ローンの契約者である夫に万一のことがあれば、団体信用生命保険の保険金で、住宅ローンは完済されますが、家計を共に支えてきた妻が亡くなった場合、世帯収入が激減してもローンの返済負担が減ることはないので、家計が厳しい状況に陥ることも考えられます。夫だけで住宅ローンを組む場合、妻の収入への依存度が高いのであれば、その分、妻の死亡保障も考えておく必要があるといえます。

 

<共働き夫婦では、妻の亡くなるリスクに注意>
 平成26年に遺族基礎年金について改正があり、妻が亡くなった場合、子(18歳に達した3月末まで)のある夫にも遺族基礎年金が支給されることになりましたが、遺族厚生年金では、亡くなった妻の遺族厚生年金が受け取れるケースはかなり限られています。(遺族の範囲については日本年金機構HP参照。http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html)そのため、共働き夫婦の場合、夫よりも妻の死亡リスクに備えておく必要のあるケースもあります。住宅ローンを組む場合、将来のライフプランにそって、夫婦のリスク保障も併せて検討することをお勧めします。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  浅川 陽子 CFP(R) 

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 この内容は2018年2月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

 

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