2016年12月15日 長期優良住宅はお得か損か?

 日本では最近大規模な地震が続き、生活での不安が増しています。人口構成面ではますます高齢化が進んでいます。国の政策として税制の優遇策を講じて耐震性や、省エネ性や、耐劣化性の住宅普及を支援しています。この制度を利用することが、お得か否かを検討してみましょう。

◆長期優良住宅制度の目的とは何か?
 長期優良住宅制度の目的。それは、長く住み続けられる住宅を増やすことです。建物の性能基準を満たしているかどうかの確認のため、長期優良住宅の認定を受ける必要があります。認定を受けるには、国が定めた「耐震性」、「耐劣化性」、「省エネ」などの基準をクリアして、長期の維持保全計画を提出します。
 長期優良住宅は、第3者機関による住宅性能審査を経て、住宅のある自治体から認定を受けることになりますので、通常の住宅に比べ資産価値が高まり、中古市場で適正な価格が付くことが一番のメリットと言えるでしょう。

 

◆長期優良住宅制度の認定を受けると有利な点あれこれ
 まず、税制上の優遇がありますが、一つ目は、住宅ローン減税です。
通常の住宅ローン減税は、ローン残高の1%上限が10年の間、累計でのところ、長期優良住宅では500万円で、減税額が100万円多いのです。二つ目は、新築住宅の固定資産税です。一定期間、固定資産税が軽減される特例制度がありますが、この固定資産税が1/2となる特例期間が、認定住宅では戸建5年、マンション7年となり、一般住宅より2年長いというのも有利と言えます。
 次に、ローン自体も優遇されます。 認定住宅は、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35S」の適用対象となりますが、住宅ローンの返済当初10年の金利が0.3%引き下げられるという内容です。最後に、地震保険に優遇策があり、認定住宅では割引対象となります。

 

◆不利な点もあるので注意
 前段で、いくつかのメリットをあげましたが、デメリットについても把握しておくとよいでしょう。認定申請に時間がかかるということで、数週間から1ヶ月以上掛かることがあります。また、認定申請に費用がかかります。行政への手数料が数千円、住宅性能評価機関への代金(審査料)が5万円前後(諸条件による)かかります。そして、ハウスメーカーや工務店の折衝に手間がかかることや、建築コスト(建材費・施工費)が増えるというデメリットも抑えておくべきでしょう。
 認定基準に合わせることで、建築コストが高くなるのもデメリットの一つと言えますが、良質な住宅となれば、資産価値が上がることが逆にメリットになるという一面があります。

 

 最後に、この制度を上手に使う、3つのポイントをまとめておきましょう。
それは、税優遇を過剰に期待しないということ、減税の控除額が大きいのに気を取られ、適正額でなく、過大な借入はしないということ、施工ミスに備えるために、施工中や完成時に、建設住宅性能評価審査を受けて、第三者のチェックを経ることです。

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 佐伯 好也 (CFP🄬) 

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2016年9月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

 

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