2021年7月3日 最近の新しい保険のトレンドチェック

 

 この4~5年で世の中はIT(情報技術)やAI(人工知能)などがすさまじい勢いで進化しています。損害保険・生命保険でもテクノロジーを大いに活用した新たな商品やサービスが続々と生まれてきています。今注目されてきている新しい保険の特徴や注意点などをチェックしていきたいと思います。

 

◆自動車保険関連

 従来の自動車保険では他社との差別化が難しかったのですが、近年ではネットや通販の損保会社が「リスク細分型保険」を販売し、条件により契約者ごとに保険料が違うため保険料を下げる効果もあり注目されていました。

 直近のトレンドは通信と情報工学を組み合わせた技術を活用して安全や事故防止を図る「テレマティクス保険」が主流です。

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<解説>テレマティクス保険

 テレマティクスとは、カーナビをはじめとした情報端末を利用して電子メールを送受信したり、交通渋滞情報を受信したりする最先端のテクノロジーを指します。

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 S社では2015年に運転特性に応じてキャッシュバックする特約を日本で初めて導入し、現在販売されている商品は専用デバイスとアプリで計測された運転スコアーによって最大30%の保険料キャッシュバックが受けられるものとなっています。

 また、多くの大手損保社が導入しているのは通信機能の付いた専用のドライブレコーダーを活用した保険です。これは運転特性を可視化したレポートを提供したり、急ブレーキ・急ハンドルなどの際に警告音を発し注意喚起してくれる機能があります。それとドラレコ型保険で注目は事故時の対応です。事故で強い衝撃を受けると自動的に事故受付センターに連絡され、事故の映像を保険会社に自動送信される機能がついています。会社によって違いますが、ドラレコの利用には650円/月から850円/月の利用料がかかりますが、事故時の心理的な負担の軽減になれば自分でドラレコを購入するよりメリットがあるかもしれません。

 

 

◆生命保険関連

 生命保険の世帯加入率は8割を超えています。飽和したマーケットで各社が新たに捉えたテーマは「健康増進」です。生命保険も死亡や病気・ケガでの入院に備えるためだけでなくリスクを抑える、あるいは予防するためのものになりつつあると言えます。

 最近までは①24時間利用できる健康・医療相談サービス②たばこを吸わずBMIや血圧が一定範囲だと「優良体」や「健康体」となり保険料の割り引きなどの制度が導入されていました。

 これに加え直近のトレンドは各社「健康増進型保険」を導入してきています。T社では専用アプリで毎日の歩数を計測し1日8000歩以上歩くと半年ごとの達成状況に応じて健康増進還付金が受け取れるものとなっています。A社ではスマホ・PCで健康診断結果を入力し、健康年齢が実年齢より低ければ保険料の一部を健康還付金として受け取れるものとなっています。

 こうした健康増進型の保険やサービスは利用者の健康増進につながるだけでなく、保険会社にとっても大いにメリットがあります。この仕組みにより将来病気になる人が減れば、保険金の支払いも減ることが予想されるからです。ウイン・ウインの関係に成りえると言ってもいいでしょう。

 

 自分で健康増進対策をなかなか実践できない人は検討してみる余地はあるかと思います。いずれにしても保険の選択は「シンプルで保険料の安いものを選ぶ」という基本は忘れないでください。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   網野 俊 CFP®

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とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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