日米の株価が史上最高値を更新、見たこともない世界が目の前に広がってきた。個人的にも「もう二度と38,915円という数字にお目にかかることはないだろう」と思っていた。この株高の動きは世界中のトレンドになっている。アメリカはもちろん、ドイツ(DAX指数)も例外ではない。いわば未知の領域を歩んでいる、いや歩み始めた、と言ってよい。「さあ、どうする?」
さて、筆者は為替相場に関わって52年、今まで何回も新しい世界に遭遇し戦ってきた。資産運用の世界に戦いと言う言葉は適切ではないかもしれないが、新しい相場に直面した時には、誰もが悩む。ここまでくればバブルではないか?こんな高い所で買えない! では、どう立ち向かっていけばよいか、悩む。筆者はいわば経験者、苦い経験もあるが、その後に役に立った知恵も多い。株も為替もインターマーケット(金融市場間)の一つ、共通することがある。まさに「未知の領域」に向き合っていくための処方箋、いくつかの言葉を紹介したい。
1.長く続いたレンジを越えた時は、次のレンジの最安値
逆に言えば、レンジを割り込んだ時は次のレンジの最高値となる。この言葉は筆者が米国で為替ディーラーとして勤務していた時に覚えたものだ。欧米では、多くの人間がまず思い浮かべる言葉だ、と聞いた。
イ)米国株のケース
米国の先生の教科書に載っていたのが米株式・ダウ平均の100年以上のチャートだった。1900年から上昇相場が続いているが、これまで弱気(ベア)相場4回(平均約14.5年)と強気(ブル)相場3回(平均17年、しかし過去二回は平均21年)が交互に発生している。現在は2013年3月に始まったブル相場進行中である。確かにいずれのケースも、長く続いたベア相場レンジを越えると一気に新しい相場となり、前のレンジには戻っていない。
今の米国株がそうであるし、日本株もようやく長いベア市場を抜けたと言ってよい。38,957.44円(1989/12/29ザラ場最高値)を越えたところが新しいレンジのスタート台になる。現在の日経225の最高値は40,472.11円(2024/3/7)だが、その後38,000円台に戻ったりで、米国株とは異なった値動きとなっている。しかし考え方は同じと思っており、この点でテクニカル的には40,000円は壁でなく通過点だと、確信している。そこで思い浮かべる戦略が「下がったら買い」である。
ロ)ドル円のケース
一方、ドル円では新しい相場ではないが、長い間超えていなかった152円が新しいレンジのスタートとなる分岐点であると筆者は思い描いている。期間は日本株が34年3ヶ月、ドル円は少し短いが、チャートを見ると非常に似ている。2022/10/21に付けたのが32年ぶりの円安水準の151.94円。その後2023/11/13に151.91円を付け、今年の最高値が150.88円(2月13日)で現在3度目の挑戦中である。そこで二つ目の言葉が次だ。
2.「二度あることは三度ある。三度目を越えたら大相場、越えなければ反転してしばらくは戻らない」
筆者の経験では、短期間で発生する場合もあるし、今回のように3年がかりというケースもある。今回151.94円を超えると3度目の正直で、次は、介入等の人為的な力がなければ、大相場になる予兆がある。もし3度さっぱりと151.94円で跳ね返されたら、こちらも140円割れに向かってドル安/円高の道を歩むと。チャートが語っている。
3.狩猟民族になれ
三番目の言葉が欧米の取引手法を表している言葉だ。日本人は「農耕民族」、一か所に留まり、獲物が来るのを待つ性格があるのに対し、「狩猟民族」は出かけて行き獲物を捕まえるやり方を主としている。すなわち、方向性が見つかれば、獲得するまでどこまでも追いかけていく手法だ。筆者は為替でダイレクト取引をしたときにこの相手の性格がわからず大苦戦をしたことを今でも忘れない。
相場変動要因として、ファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)、実需(資本、貿易取引)、投機があるが、テクニカル分析も無視できない。
今でもチャートとにらめっこする毎日である。
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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 小池 正一郎
主な資格:
CFP®・1級FP技能士
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