いわゆる住宅ローン減税とは、住宅購入の際に住宅ローンを利用した場合に年末の住宅ローン残高の0.7%をその年の所得税額から差し引く減税措置になります。
2021年までは年末の住宅ローン残高に対し、1%の控除率でしたが、2022年から控除率が0.7%へと改正されました。さらに2024年以降に新築住宅を購入し住宅ローン減税を受けるためには、省エネ基準適合について注意する必要があります。
◆2024年1月以降の住宅ローン減税を受けるための省エネ適合基準とはどのようなものか?
2020年10月に菅前首相が、2050年までには温室効果ガス排出を全体としてゼロにするという、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目標としたことがきっかけとなり、住宅・建築物においても省エネルギー性能の確保を目指すことになりました。2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅で住宅ローン減税を受けるためには、以下の3つの基準のいずれかに適合する必要があります。
① 低炭素住宅
二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する仕組みのある住宅です。CO2を抑制するため環境にやさしい住宅です。
② ZEH水準省エネ住宅
断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費等級6の性能を有する住宅です。
③ 省エネ基準適合住宅
断熱性能等級4以上かつ一時エネルギー消費量等級4以上の性能を維持する住宅です。
◆住宅の区分や居住年によって借入限度額や控除期間が異なります
新築住宅の場合は、居住年が令和4年~令和5年、令和6年~令和7年で借入限度額が変わります。省エネ基準を満たした住宅であれば控除期間は何れも13年間です。控除率も一律0.7%です。
省エネ基準を満たしていない一般住宅の場合、居住年が令和4年~令和5年であれば控除期間は13年間になりますが、令和6年~令和7年の場合は控除期間が10年または控除適用外になります。
詳細は以下の国税庁ホームページアンサータックスをご覧ください。
No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)
◆省エネ基準に適合しない住宅はどうなるの?
2023年末までに建築確認を受けた新築住宅で省エネに関する適合基準を受けていない建物や個人間取引の既存住宅で昭和57年1月1日以降に建築された建物であることなどの要件がありますが、一定期間は住宅ローン減税が適応されます。
詳細は以下の国税庁ホームページアンサータックスをご覧ください。
No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)
◆住宅ローン控除率0.7%と住宅ローン借り入れ金利の状況
財務省の会計検査院によると住宅ローンを借入する人の全体の78%の人が金利1%以下です。そのうち35%は金利0.7%以下です。控除率は引き下げられたとはいえ活用することで子育て世代などでは十分に効果のある政策に違いありません。ただし時限立法でもあるので2025年以降は改正される可能性もあります。十分に資金計画を立てたうえで借入金額を決定することをお勧めします。
-------------------------------------
-------------------------------------
一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 田邊 和弘
専門分野:
不動産投資、不動産相続、不動産管理
主な資格:
CFP®、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、CPM®(米国公認不動産賃貸経営管理士)
【免責事項】
かながわFP生活相談センター(KFSC)は、当コラムの内容については掲載時点で万全を期しておりますが、正確性・有用性・確実性・安全性その他いかなる保証もいたしません。当コラム執筆後の法律改正等により、内容が法律と異なってしまう場合がございます。どうぞご了承くださいますようお願いいたします。万一、当コラムのご利用により何らかの損害が発生した場合も、当社団法人は何ら責任を負うものではありません。