「米国中流家庭のように資産1億円をもつ」のシリーズ第5弾、40歳台編です。40歳台後半から50歳台で、お子様がいる場合は、教育費負担が非常に重くなる時期です。
◆ つみたて投資(必要な時は、躊躇なく部分解約で対応する)
私自身の経験にもとづく提案ですが、つみたて投資の積立金額は、少し多め、給与収入の1割程度とするのが良いと考えます。教育費など、一時的に家計が支出過多となる時期に、つみたて投資から家計の赤字を補填していくのです。その際、大事なのは、含み益があろうが、含み損になっていようがかかわらず、躊躇なく50万円とか、100万円単位の部分解約するのです。
さらに、「つみたて投資は、継続し続ける」ということが大切です。
この時期は、つみたて金額と、部分解約の金額が、ほぼ同じになるので、積み立ての意味がないとも言えます。しかし、一度、つみたてをやめてしまうと、つみたてを再開できる時期になっても、たぶんですが、多くの方は、再開できないと思うのです。
少なくとも私は、自分がそうだと考えて、どんどん部分解約をしている時期も、月々のつみたては続けました。
例えば、40歳台後半で、年収1000万円の方であれば、1割は100万円ですが、月々の積立金額として、きりの良いところで、月々8万円(年96万円)をつみたて投資に回すのです。40歳からつみたてを始めていて、40歳台後半、例えば、48歳になったところで、つみたて元本は768万円になります。
二人のお子様がおられるとして、上の子が私立大学、下の子が私立高校で、受験塾にも通うとなると、教育費など子供にかかる支出は、250万円以上かかってきます。
普通レベルの生活をしておられれば、1000万円の年収でも、家計は単年度、赤字になります。この時、つみたて投資の資金からの補填は、大いに家計を助けます。
教育費は、子供がいれば、必ず必要となる支出なので、その支出のための資金をリスク商品に回すべきでないというのが一般的な考え方です。
しかし、私が、昨年6月の私が上梓したこのコラムをご覧ください。10数回にわたり、部分解約を繰り返し、教育費に充てましたが、つみたて投資を続けた実例を示しました。
しかも、私の場合、運悪く、この支出過多の時期の始まる前に、リーマンショックに巻き込まれているので、大変厳しい時期を経験した事例ですので、それなりの意味がある参考例と思っています。
◆ 40歳台の方は、60年という期間が味方をする
40歳台の方は、人生100年時代ですので、100歳までに50-60年という年月があります。
このシミュレーションは、2001年3月~2016年2月までの15年間の日経平均の騰落が、繰り返し続くと仮定した例です。この15年間の株価の騰落率は、年換算で3.5%の利回りに相当するので、控えめな、でも実はそこそこの期待利益率を前提にしているといえます。65歳から、つみたて時と同じ額の8万円を毎月定額で部分解約をしているのに、90歳~100歳の時の残高である評価額をご覧ください。ちょっと夢を見るという額になっています。
これが、「超長期」の威力です。
なお、全世界株式や米国株式の投信の株価上昇率は、もっと高く、その一方、株価のブレ(リスク)は、日本株式とあまり変わらないので、上記シミュレーションを凌駕するつみたて効果の発揮が期待できます。
◆ 厳しい市況が繰り返すとどうなるか
前々回(第111回)、前回(第112回)のコラムでも使った厳しい株価パターン(年利回り0.9%)でどうなるか。
偶然ですが、100歳でちょうど0円になっています。余裕資金を亡くなるときに使い切るというのは、よいお金の使い方といえるでしょう。
積立元本2400万円と同額を取り崩すことになる90歳の時に、残高が約1000万円あるというのも心強いです。
◆ ポイント
注: iDeCo(個人型確定拠出年金)は、税制優遇を受けられるため、お勧めの投資手段ですが、あくまで年金のため、現役時代には、途中解約できません。また、つみたてNISAも税制優遇を受けられ良いのですが、20年というつみたて期間の制約があります。ここで取り上げるつみたて投資は、税制優遇はない、一般のつみたて投資を前提にしています。
(つづく)
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一般社団法人 かながわFP生活相談センター理事 奥田健一 CFP®
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