2022年10月1日 賃貸物件に何があった!?

 

この部屋は他と比べて賃料が安く、きれいにリフォームされているようだから、この部屋を借りたい。と、お客様からお問合せがあって弊社に来店されました。確かに賃料は安めで、リフォームもしっかり済ませています。これには理由があったからです。

実は前に住んでいた方が、高齢者の一人暮らしで、具合が悪くなって救急車も呼べず、3ヶ月前に孤独死したお部屋でした。

入居者は普段から、親戚やご近所、アパート内でもほとんどコミュニケーションがなかったようです。そのため亡くなった際の経緯は、民生委員さんがアパートを訪ね際に、不審に思い、私ども不動産管理会社に一報が入り、大家さんと一緒に現場に行って発覚したという経緯がありました。

 

◆ スマホで検索したサイトには、そんな記載は無かったのに

 ご来店いただいたお客様は、「一言記載があれば、わざわざ御社を訪ねなかった」。と、ちょっと怒った表情で私に訴えておられました。

 確かに物件情報にその旨の記載はしておりませんでした。ご来店前に、メールなどでお問合せを頂いていれば、お話する機会もあったかもしれませんが、ご説明する前にご来店されたことも重なり、直接、お答えすることになりました。

  

◆ 人の死も告知しなくて良いケースがある

 私は、お客様に、その旨の掲載していない理由をお伝えしました。

賃貸及び売買の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、ごえん等)は告知不要という指針が示されました。

 宅建業者による「人の死の告知に関するガイドライン」を令和3年10月8日に国交省が策定し自然死や日常生活の中での不慮の死は「発生することが当然予測され、買主・借主に重要な影響を及ぼす可能性は低い」との判断から告知の対象外としたのでした。

  

◆ 掲載していない理由はご理解いただきましたが。。

    ガイドライン策定理由は、単身高齢者居住の増加に伴い、自宅での孤独死も増加。これを理由に単身高齢者の入居が敬遠され、自宅売却の際に、告知事項が原因として不動産の流通を阻害していることも考えられることから、告知しなくても良いケースを策定したようです。従来は『告知事項あり』等として標記していましたが、『掲載不要のガイドライン』が策定されたので、記載自体が適当ではないと思いました。

 結果的には、不掲載の理由で契約には至りませんでしたが、仕方がなかったことだと思っています。

 

◆ まとめ

    大家さんの立場では、告知不要だから告知せず契約し早く空き室を埋めたいと思うはずです。

とはいえ、借りる方は、契約後や入居後に知った場合、自然死とはいえ正常ではいられないと思うのです。実務では、契約前には、状況をしっかりご説明して、入居希望者がご納得の上で契約し、ご入居いただきたいと思っています。

 

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)    志村孝次   AFP ・ 宅地建物取引士

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とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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