2021年12月1日 米国中流家庭のように資産1億円をもつ(60歳台編)

  

このコラムに寄稿している「米国中流家庭のように資産1億円をもつ」のシリーズ第3弾、60歳編です。

 

◆ 60歳の私には、超長期は関係ないと思っていませんか?

前回(第109回)、このコラムでつみたて投資を60年かけて行いましょうと書きました。

おそらく60歳前後以上の方は、自分には関係ないと思われたかもしれません。でも、人生100年時代ですので、60歳の方には40年の運用期間があると考えます。

60歳からのシミュレーションの一例が下記のグラフです。

このシミュレーションでは、過去20年間の日経平均の株価が繰り返すと想定しました。そして、60歳から退職金を原資として、月10万円ずつ、15年間つみたてて、75歳から25年間、毎月6万円を取り崩して家計の足しにするというパターンです。25年間で、つみたてた元本(1800万円)相当分、取り崩すのです。金利がほとんどつかない預貯金のつみたてでは、100歳の時、残金は、ほぼゼロとなりますが、40年間、この株価パターンで運用を続けたら、1800万円を取り崩した上に、100歳の時、約8000万円が残るという試算結果になります。

 

◆ 直近20年の株価パターンの繰り返しは現実的か?

 このシミュレーションには、大いなる注意点があります。それは、2001年から2021年までの日経平均は、2回の株価暴落の期間(*)を含んでいるとはいえ、後半の10年間の株価上昇は、かなり好調であったという点です。

*: 2000年からのITバブルの崩壊と、2007年からのリーマンショック

同じことがふたたび起こると考えるのは、難しいかもしれません。(日本経済に悲観的ですが)

 

◆ 厳しい株価パターンで、シミュレーションしてみました

 そこで、次のシミュレーションです。

2007年から2017年の10年間の株価パターンを繰り返す想定です。かなり厳しい想定でしょう。なぜならば、それぞれの10年の最初の約2年、リーマンショック級の株価下落が、繰り返し起こる想定だからです。この40年間に4度も、リーマンショック、つまり、60%の株価下落が起こると考えるのです。

このパターンの結果はどうでしょう。

つみたてを完了する75歳で、苦しいことに、元本割れをしています。しかし、その後の株価上昇で、78歳の時に、残高の評価額が3000万円となり、1800万円を取り崩し終えた100歳の時点で、1000万円弱の資産が残っています。

 

◆ 超長期(40年)で、世界分散投資で、つみたて投資を継続する

 日本の過去30年と同様に、今後40年間、繰り返し株価の大暴落が、10年ごとに繰り返し、日経平均は、それぞれの10年間でほんのわずかしか上昇しないというパターンであっても、一定の資産が残るという事実は、かなり重要なポイントと考えます。

一方、世界全体は、成長していくだろうと多くの方たちが考えています。投資先を日経平均だけに頼らず、世界分散投資を行えば、その間に、株価暴落があっても、長い目では、世界GDPの成長の果実が、私たちの資産形成に取り込めるということになりそうです。

(つづく)

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   奥田健一 CFP®

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とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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