2020年12月15日  新型コロナの影響で住まいに危機が!?

 

 新型コロナの影響で減収により住宅ローンの返済や家賃の支払いが困難になったり、勤務先の倒産や廃業、解雇等により住居を失った事例が数多くあります。
今回は、このような深刻な問題を乗り切るためにはどうすればよいか、分かり易くお伝えしていきます。
 今年2月に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は留まるところを知らず、これからの本格的な冬に向けて第3波の波が押し寄せています。ここへ来て国や自治体はGo ToトラベルやGo Toイートの見直し、飲食業の時短要請等諸施策を試行錯誤で実施していますが、先行き不透明の中予断を許さない状況が続いています。
 次のような点に留意してこの危機を乗り切りましょう。

 

1.住宅ローンの返済が困難になった 
(1)まず銀行に相談する
 住宅ローンの返済は、家計の中でも大きなウエイトを占めていますが、毎月定期的な支出となっており、生活の拠点である住宅を守るためにも、最優先で支払わざるをえません。
 住宅ローンの返済が難しくなった場合は、まずローンを借りている銀行に相談してみましょう。銀行は、状況にあった方法をいろいろアドバイスしてくれます。
 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した人や、売上が減少して経営が苦しくなった個人事業主を対象に、住宅ローンや事業資金の借入金の減免制度が12月1日からスタートしています。この制度の対象となるのは、今年2月1日までに借り入れたものか、今年10月30日までに新型コロナウイルスの影響を受けて借り入れたローンです。
この減免制度は、かつて東日本大震災で、ローンの返済が困難になった被災者を救済するために設けられた制度の適用を広げて活用することになったものです。
 なお、この制度を利用すると一定金額を手元に残すことも可能で、信用情報機関への登録もされないので、今後の銀行からの借入やクレジットカードの使用にも影響はありません。
(2)これだけは避けたい
①一番避けたいのは、銀行に黙って延滞すること
 期間は銀行によって異なりますが、一般的に3カ月以上続けて延滞すると、個人信用情報機関に登録され、新たな借入ができなくなったり、クレジットカードの使用が制限されます。また、延滞期間が6カ月ほどになると、保証会社が銀行に代位弁済し、保証会社から一括弁済を求められます。
②一時しのぎで消費者金融などから高金利の無担保ローンを借りること
 無担保消費者ローンの金利は多くの場合年15.0%~18.0%と住宅ローンと比べて桁違いの高さとなっています。 新型コロナ感染の影響がいつまで続くか不透明な中で、苦境に陥っている家計を助けるどころか、ますます家計の首を絞めることになるので避けたいところです。

 

2. 家賃の支払いが困難となった
 新型コロナ感染症の影響により収入が減少して家賃の支払いが困難となった場合の支援制度に「住宅確保給付金」があります。
離職・廃業後2年以内である場合、又は休業等で収入が離職等と同程度まで減少している場合が対象となります。直近の世帯収入や預貯金合計額により、市区町村で定める金額を上限に家賃額が原則3カ月間(最長12カ月まで延長可)支給されます。お住まいの市区町村の自立相談支援機関に問い合わせてみましょう。詳細は下記ホームページをご覧ください。

< https://corona-support.mhlw.go.jp/index.html>

 

3. 勤務先の倒産や解雇により、社宅等を退去せざるを得なくなった
 国土交通省は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、離職等で住まいを失った方または失うおそれのある人等を対象に次のような救済措置を講じています。
(1)公営住宅等の空き家情報の提供
 神奈川県では、県営住宅、市営住宅、住宅供給公社賃貸住宅等の一時提供を行っています。各自治体の所管部署に問い合わせてみましょう。
(2)低所得者等の入居を拒まない「住宅セーフティーネット」の設置
 「住宅セーフティーネット」とは、低所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯その他住宅確保を特に要する「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度で、次の3つの大きな柱から成り立っています。
①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
 耐震性や床面積など一定の登録基準を満たす住宅を自治体に登録し、自治体は登録住宅の情報を住宅確保要配慮者に提供します。
 「セーフティーネット住宅情報システム」により、都道府県別に賃貸住宅を検索できます。
 下記サイトに全国のセーフティーネット住宅が掲載されています。   

<https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php>


②登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
 登録住宅の入居者への経済的支援として、大家さんに対する家賃低廉化と家賃保証会社に対する家賃債務保証料低廉化のための補助制度があります。
 また、大家さんが登録住宅を改修するための支援として、改修費に対する補助制度があります。
 補助制度の詳細については、自治体のホームページ等で確認できます
③住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援
 都道府県指定の居住支援法人による賃貸住宅の情報提供、登録住宅の入居者への家賃債務保証、見守りなどの生活支援などを行います。

 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、自治体や宅建業者団体、居住支援団体等が連携し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施します。
 神奈川県の居住支援事業については下記「神奈川県居住支援協議会」のホームページをご覧ください。

<http://www.machikyo.or.jp/kyojyushien/>

 

以上、2020年12月10日現在に実施されている住宅関連の支援制度を紹介しましたが、この他にも新型コロナで困窮している人達を対象とした多くの支援制度があります。今後も感染の動向如何によって、制度の変更や新しい制度の実施が予想されます。折に触れて新しい情報に留意し、苦境を乗り越えて頂ければ幸いです。 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   水野 誠一 CFP®

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献するこ

とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

  

 

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