2015年04月14日 本当は要らない?自転車保険

 平成26年10月、自転車購入者に自転車保険の加入を義務づける条例案を平成27年2月にも県議会に提案すると兵庫県知事が表明し、大きな話題になりました。

 

 兵庫県では自転車と歩行者の事故が増加傾向にあり、平成25年7月には60代女性を自転車ではねて寝たきり状態にさせたとして、乗っていた少年の保護者に9,500万円の賠償を命じる判決が、神戸地裁で言い渡されていたのも背景にあるようです。県は今後、保険会社を公募し事故でけがをさせた相手に払う賠償金を補償する自転車保険を新設する方針だといいます。つまりここで重視されているのは、自転車の事故でけがをさせた相手への賠償です。

 

◆自転車保険の補償内容は?
 神戸地裁の例以外にもいくつかの高額な賠償事例が報道され、自転車事故への備えの必要性が指摘されてきたことで、既に様々な保険会社が自転車保険を販売しています。一般に販売されている同商品の主な補償内容は、次のようになります。


1.個人賠償責任保険金
日常生活に起因する偶然な事故により、他人の身体を害したり物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合の補償。

 

2.死亡・後遺障害保険金
交通事故によるケガのため、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に被保険者が死亡した場合、および被保険者に後遺障害が生じた場合の補償。

 

3.入院保険金
交通事故によるケガのため、被保険者が入院した場合の補償。

 

 自転車の事故でけがをさせた相手への賠償は1で補償されるのですが、この補償は自転車事故に限定されておらず、例えば、住んでいるマンションであなたの不注意から階下の部屋に漏水してしまい賠償責任を負った場合も補償の対象になります。

 

◆個人賠償責任特約は様々な保険に潜んでいる?
 個人賠償責任の補償は日常生活に起因する事故を広くカバーするため、様々な保険に特約として付いていることも多いです。個人賠償責任特約のほか、日常生活賠償特約という名称を使用している保険会社もありますが、補償内容は同じです。例えば、火災保険や自動車保険、あるいは傷害保険にはこの特約を付けられる保険会社が多く、特約保険料も年500~1000円程度と安いため、あなたも意識しないうちに加入している可能性があります。

 自転車保険を考える前に、まずは自分が加入しているこれらの保険証券を見て個人賠償責任特約がついていないかを確認しましょう。ついていない場合でも、これらの保険に同特約をつけることができるか、できるのであれば保険料がいくらになるかを保険会社に試算してもらい、自転車保険に加入する場合と比較するのがよいでしょう。


一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 平野 雅章 CFP(R)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2014年12月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

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