2015年3月26日 NISAはこう変わる

 平成26年から始まった少額投資非課税制度(通称NISA)はもうご利用になっていますか?

 

 NISAは、株や投資信託を売却した時の利益や配当金、分配金が非課税になるという制度です。日本に居住されている20歳以上の方であれば、どなたでも利用することができます。今回は、今年1月14日に閣議決定された、平成27年度税制改大綱の中で、家計に影響が強いNISAに関連する内容を、3つお伝えします。

 

 新しい非課税制度であるNISAに関係者の期待が集まっていますが、非課税枠が、年間で100万円と少ないことなどを含め、使い勝手が悪いという指摘が多く寄せられています。金融庁からも昨年6月、「開設された口座の75%が実際にはまだ利用されていない。」「口座開設者のうち20代30代の利用は10%に留まっている」という結果が発表されました。そこで、平成26年8月29日に金融庁から、来年のNISAの拡充・利便性向上のために3つの要望が提出され、今回その内容が承認されましたのでご紹介します。

 

子供でもNISAの利用が可能に!
 提出された、子どものためのジュニアNISAは、0歳から20歳未満の方が対象です。名義は子どもですが、実際の運用と管理は、親や祖父母となります。注意して頂きたいのは、ジュニアNISAは生前贈与と若年層への資産移転の意味が強く含まれているため、18歳になるまで払い出しできないことです。

 教育贈与信託が注目されている今、若い世代への贈与を考えている方には朗報となるでしょう。

出典:金融庁HP(平成27年税制改正要望項目)
出典:金融庁HP(平成27年税制改正要望項目)

成人NISAとジュニアNISAの違いの部分を下表にまとめました。


成人NISA ジュニアNISA
利用可能者 20歳以上の日本居住者
0歳~20歳未満の日本居住者
両親、祖父母が管理
20歳になると成人NISAへ
非課税投資枠
100万円(120万円に拡大予定)

 80万円

途中売却

自由
原則18歳まで不可


投資の上限額がこんなに引き上げられる
 現在の年間上限額は100万円ですが、120万円に引き上げられる予定です。投資信託を毎月定額で積み立てる場合、100万円を12ヶ月で割ると83,333円と端数がでてしまいます。240万に増額という話も出ていましたが、ひとまず120万円(毎月10万円)になりました。

 

NISA がもっと利用しやすくなる
 現在、NISA口座開設には住民票の提出が必要ですが、平成28年1月に導入が予定されているマイナンバー(注)を利用する事で住民票の提出が不要となり、口座開設までの所要時間が大幅に短縮される予定です。

 

 注:マイナンバー(社会保障・税番号制度)とは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理するための制度です。詳細については以下の内閣官房ホームページをご参照ください。

 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

 

 今回創設されるジュニアNISAを通じて、高齢者から若い世代へ、預貯金から株式等へのシフトを後押しするという狙いがあるようです。消費税増税や物価上昇に対抗するために、子どもから高齢者まで利用できる非課税制度として、NISAをうまく活用したいものです。但し、NISAの投資対象は、預貯金とは異なり、元本保証の無い株式や投資信託です。投資が初めてという方は、FPなどの専門家に相談して、NISAの制約や問題点をよく理解した上で利用される事をお勧めします。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 植田 周司

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2014年10月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

記載内容の一部は最新の情報を追加しています。

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