2018年10月15日   今こそ考えたい、災害対策のススメ

 

 2018年、さまざまな災害が起こっています。1月の大雪に始まり、火山活動、地震、土砂災害、台風、豪雨と数えられないくらい、そして、災害が来るたび「またか」と思った方も多いでしょう。ただ、災害が通り過ぎると、当分は来ないだろうと思ってしまう方もいるかもしれません。来年には、保険の改正も予定されています。災害の多い今だからこそしておきたい災害対策を考えてみましょう。

 

◆災害時、公的な支援はどこまで頼りになるの?
 政府や自治体のHPやガイドブックには、「災害時には、公助、共助、自助が大事です。」と記載されています。言い換えると、「公的な支援だけでは、災害後に元の生活には戻れません。そのために、公的な支援と、お互いの支援、そして、自分でも備えましょう」と言っているわけです。災害時の公的な支援として、例えば、家が全壊した場合には、最大300万円が給付されます。住宅ローンを抱えている方が、更に融資を受けて、自宅を再建するというのはハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。

 

◆マンションの人はこんな点に注意したい
 民間の火災保険で地震保険を付保している場合、水害や地震による被害は、民間保険の対象になります。ただし、損害保険の調査員が被害の判定をします。自治体が発行する「罹災証明書」とは被害認定が異なるケースもありますし、地震保険で給付される金額は、実際の損害額ではありません。保険の対象が建物の場合では、建物の主要構造部の損害の程度が確認されます。そのため、災害時、マンションの方は、火災保険、地震保険に加入していたとしても、給付される金額は、自分が想定するよりもかなり少ない金額になることも予想されます。マンションの場合、1階駐車場や廊下のひび割れ、タイルの剥落、エレベーターの損傷など、一軒家とは異なる視点で民間の保険に加入する必要があるのです。

 

◆火災保険の改定が予定されている
 損害保険各社は、火災保険の保険料を設定するための目安となる「参考純率」を3~5%程度引き上げることを決定しています。これだけ自然災害が多発し、支払う保険金が増加していることから、やむを得ない事情かもしれませんが、確実に家計の負担が増えることは間違いありません。保険は代理店や募集人に勧められて加入することが多いでしょう。文字の小さい約款などをしっかり読むこともないでしょうから、重要な点について、契約者が誤解して覚えていることもよくあることです。

 

 災害時の保険は、最近は従来の損害保険会社だけではなく、共済や少額短期保険など選択肢は確実に増えてきています。そんな中で、保険料ははらっているものの、給付が思ったよりも少ない、もしくは支払われなかったということもお聞きしています。「支払っているから安心」ではなく、災害時、家計はどんな打撃を受けるのか、しっかりと確認したうえでの災害対策を、「今だからこそ」見直したいものです。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  當舎 緑

               ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、行政書士  

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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