2015年3月15日 資産運用に役立つ数字ってどんなもの?

 投資先進国の米国では、資産運用で使われている経験則があります。それを「投資のルール・オブ・サム(The Rule of Thumb、親指の法則)」と呼んでいます。そもそもの意味は、「正確なデータや経験によって物事のおおよそを判断する時に用いられる法則」のことで、きこりや大工がものを測る時に親指を使ったのが由来と言われています。
  ただこの経験則は、米国生まれなので、日本ではそのまま受け入れ難いものもあります。しかし、経験豊かな国の、長い間の歴史で積み上げられたものですので、とても参考になる考え方です。実例として役に立つと思われるルールをいくつか紹介しましょう。

 

ルールその1「72のルール」
 元本が2倍(概算)になる金利と年数の関係です。その式は、「金利×年数=72」です。例えば7.2%で10年預けると7.2%×10=72となり、元本が倍(概算)になります。2%で預けた場合、元本の2倍になる期間は約36年(72÷2=36年)です。それが1%だと72年、0.01%だと7200年と気の遠くなる年数(笑。でも笑いごとではないですが・・)。住宅ローンなど借り入れの場合も同じことです。簡便法として覚えておくと便利な計算式です。

 

ルールその2「100-(マイナス)年齢=リスク資産(例・株式)保有割合」
 年代別に望ましいリスク資産の保有割合を計算する式です。40歳であれば、100-40=60となり、6割をリスク資産に投資に分散することが望ましいという意味です。若い(投資期間が長い)場合は、リスク資産の割合を増やした方が投資効果が高くなるとの考えが基本にあります。日本と違い米国の株式市場は基本的には右肩上がりの傾向があります。運用期間が長くなればなるほど複利の効果が高くなる(=資産の増え方が大きくなる)ので、この計算式が生まれたものと考えられます。一方、逆に言えば、「自分の年齢=安定資産(債券)保有割合」となります。しかし、最近は平均寿命が長くなったので、「100」を「110」とか「120」として計算する考え方も出ています。アベノミクスが続く時代、日本でも必要な考え方かもしれません。

 

ルールその3「8倍」
 退職に備えて、その時に保有していることが望ましいとされる資産残高と年収の関係です。8倍とは65歳に当てはまる倍率です。65歳の年収が1,000万円とすれば、その時に保有していた方がよい退職準備資金は8,000万円になります。また、年齢別にその時点でいくらの蓄えが理想かを表す倍率があります。35歳で1倍(35歳でその時の年収と同じ金額の蓄え)、45歳では3倍、55歳では年収の5倍が退職時に必要な蓄えとの考えです。実際は、個人個人のライフスタイルや退職金、受け取り予定年金金額などにより異なりますので、この倍率どおりである必要はありません。しかし、若い時から退職時に備え、目標を持って計画的に蓄えていく大事さを教えています。

 

ルールその4「10%」
 年収の中で貯蓄に充てていきたい割合です。年齢にかかわらず、10%は無かったものとして貯めていく習慣を持つようにとの教えです。貯蓄だけでなく、自分への投資も含めることや、年齢に上がるにしたがって割合を上げていくとの考え方もあります。

 

 皆様方は、退職後の備えについてお考えになっておられますか。もし、「まだ早いよ」と思われても、現在の収入、運用環境などに照らして、いつまでにいくらの蓄えが必要か、それなら今からいくら積み立てていけばよいか、何%で運用しなければならないかなど、このルールも利用しながら考えてみるのはいかがでしょうか。
「いつやるか?」「今でしょ!」。備えは早ければ早い方が良いのです。「千里の道も一歩から」「ちりも積もれば山になる」は、資産運用の言葉でもあります。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 小池正一郎 CFP(R)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。


  この内容は2014年9月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。


 

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