2018年8月16日   低金利、インフレ時での資産運用とは

 

*日本は今インフレ?それともデフレ?
 今年になってからビール、小麦粉、パンなどの値上げがあり、インフレであると感じている人が多いそうです。インフレとは、お金の価値が下がり物の値段が上がる状況。デフレとは、お金の価値が上がり物の値段が下がる状況です。デフレなら物が安く買えて良いように思えますが、長く続くことは必ずしも良いとはいえません。企業収益は上がらず従業員の給料も上がらず、最終的には景気が悪くなることもあります。日本ではこのデフレ状況が長く続いていたため、デフレ脱却を目指して日銀がマイナス金利政策を導入しました。現在は企業業績や雇用状態も良く、少しずつインフレに向かっているようです。
 それではこのような低金利でのインフレが、私達の生活や資産運用にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。

 

*インフレ率(物価上昇率)2%の影響
 日本銀行のマイナス金利政策により、住宅ローン金利がかなり低く、住宅が購入しやすくなっています。一方、金融機関に預け入れる金利も非常に低くなっており、100万円を1年間預けても100円ほどの利息しかつきません。税金も引かれるので手取りはもっとわずかです。
 日銀の目標としているインフレ率2%になった場合、今年100万円の品物は、1年後には102万円に値上がりします。100万円を1年間0.01%の金利で運用していては、もう買えなくなるということです。

 

*お金が目減りする?
 もしインフレが5年、10年と続いた場合、現金や預貯金はどのような影響をうけるのでしょうか。下のグラフのように日本銀行が目指すインフレ率2%が続いた場合、100万円の実質的な価値は10年後には82万円、20年後には67万円になります。100万円の額面は変わらなくてもインフレ時には物の値段が上がっていくので、実質的なお金の価値は下がってしまうのです。つまりお金が目減りするということです。

 

*低金利、インフレ時の運用のコツ
 このようにインフレ時にはお金の価値が下がるので、少なくともインフレ率を上回る利回りを目指して、現金や預貯金の目減りを防ぐ必要があります。
 大きな収益を目指すと損失も大きくなる可能性が生じます。まずは投資効果を高めるため、購入手数料が無料のものや投資信託の信託報酬が低いものを選ぶなど、コストに注目しましょう。コストの違いが運用利回りに大きく影響します。それから、NISA、つみたてNISAなどの非課税制度も積極的に活用しましょう。株などの譲渡益、配当、分配金から20.315%の税金が引かれないのはとても大きな収益の差となります。
 インフレのときは、株式や不動産などが上がる傾向にあるため、株式、金、不動産などの資産に分散投資するのも一案ですが、投資には必ずリスクが伴います。勧誘等を受けてそのまま投資するのではなく、自分自身で適切な投資判断ができるように日頃から金融商品の知識を身に付けておきましょう。そして、資産運用に詳しいFPに相談するのもひとつの方法です。

 

           <元本100万円の10年後20年後の価値> 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  木村 道子 CFP(R) 

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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