2018年6月17日 七瀬ふたたび・・・

 

 筒井康隆さんの「七瀬ふたたび」を読まれたことはありますか?


 実は、私は10代、20代の頃はよく小説を読んでいたのですが、書店でタイトルだけで本を購入して読むこともしばしばでした。

だいたいはイメージどおりの作品であることが多かったのですが、予想と最もギャップのあった作品の1つと言うことで印象に残っているのがこの作品です。

 当時は筒井康隆さんについて全く知らなかったこともあり、私は「七瀬」というのは地名で、主人公が七瀬をふたたび訪れて物語が展開するという叙情的な作品だと勝手に予想していたのですが、「七瀬」というのは超能力者である主人公の名前で、この作品が3部作の第2部にあたり、ふたたび七瀬が登場するところからつけられたタイトルでした。

内容も、日常生活の世界から、超能力者を抹殺しようとする組織から逃れようとするストーリーに徐々に推移していくもので、予想とは全く異なるものでしたが、非常に引きつけられる内容で、第1部に戻って3部作すべてを読みました。


 小説や旅の世界では、「たまたま」の選択がこのような思いがけない出会いにつながり、良い思い出となることがあります。

しかし、資産運用の世界ではこのようなことはすべきではありません。通常、金額も大きく、合理的な選択をしないと大きな損失につながる危険があります。一般に陥りがちな「罠」についてポイントを述べます。詳細は機会があったらまたその時に。


(1) 一見、ものすごく儲かりそうな金融商品には十分注意すること。

 このような商品には落とし穴があると思ってほぼ間違いありません。本当にそんなにうまい商品があるなら、プロ集団である金融機関がほぼゼロ金利の国債に多くの資金を投入して運用したりしないはずと考える冷静さが必要です。

 

(2) 金融商品のコスト(手数料、税金、等)をきちんと確認すること。

 一般的にはなかなか分かりにくいことが多いので、きちんと説明を求め、これを含めてきちんと評価するようにしましょう。そういう意味ではiDeCoやNISAといった非課税制度、節税制度を使って手数料の安いインデックスファンド等で運用するのは賢い選択肢の一つと言えるでしょう。


(3) 金融機関が勧める商品は原則買わないこと。

 プロである金融機関が勧めるのだから儲かる可能性の高い商品だと誤解しがちです。金融機関の窓口に座っているのは金融のプロではなく販売のプロと思ってください。儲かる商品より金融機関にとって手数料が多く入る商品を勧める、と理解すべきなのです。この「利益相反」に注意が必要です。


(4) 資産運用より目標を設定しての家計管理を。

 資産運用の効率を上げるためのリテラシー(基礎知識)というものはありますが、いずれも必ず成功に繋がるとは言えません。まずは人生100年時代の資金計画を整理し、それに向けて家計管理の徹底で資金を蓄積していくことが、地味ですが基本であることを忘れてはいけません。資産運用はそれを補完するものに過ぎないと理解しましょう。
 

 皆様方が合理的な資産形成をされることを切に願っております。もし、気になることなどが生じた場合には、信頼のできるファイナンシャル・プランナー等を活用されることをお勧めします。
 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  鈴木 康文 CFP(R) 

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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