2018年4月15日 ご存知ですかセルフメディケーション税制(新しい医療費控除の特例)

  

1.セルフメディケーション税制とは
 健康の維持増進及び疾病の予防として、一定の取組を行う個人が平成29年1月1日以降一定の医薬品(OTC医薬品=市販薬)を購入した場合、その購入費用について「所得控除」を受けることができるようになったものです。

 

2.OTC医薬品とは
 一般用医薬品(市販薬)はドラックストアーなどで購入できます。風邪薬、皮膚用薬、解熱鎮痛剤や胃腸薬など様々のものがあり約1,500品目(厚生労働省指定)あるそうです。
 セルフメディケーション税制に該当するものには「共通識別マーク=右図」がついていますので、購入する際には確認して下さい。

 

3.従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制の違い
(1)従来の医療費控除制度
 医療費控除は、医師、歯科医師による診療費や治療費、医薬品などが控除の対象になり、10万円(または総所得金額の5%相当額のいずれか低いほうの金額)を超える金額で最大で200万円まで所得控除できる制度です。

 

(2)セルフメディケーション制度
 セルフメディケーション制度は、国民の自発的な健康増進や疾病予防を促し医療費を適正化させる目的から創設されました。
以下の4つに該当する場合が対象になります。
 ① 所得税と住民税を納税している。
 ② 予防接種や健康診断を受けている。
 ③ OTC医薬品を12,000円超購入している。
 ④ 従来の医療費控除制度を適用しない。
控除額は、最大で88,000円です。


4.医療費控除とセルフメディケーション制度は選択適用
 いずれか一方を選択して適用を受けることになります。両方の適用はできません。
手続きには、確定申告が必要です。

 

5.所得控除額のシミュレーション比較
「事例」:総所得金額=400万円、医療費・医薬品=13万円、OTC医薬品=5万円の場合
(1)従来の医療費控除制度
  130,000円(医療費等)-100,000円(基礎控除額)=30,000円(所得控除額)

 

(2)セルフメデケーション制度
  50,000円(OTC医薬品)-12,000円(基礎控除額)=38,000円(所得控除額)

 

 上記計算例では、セルフメデケーション制度を適用した方が有利になります。

 

6.終わりに
 1月から購入した医薬品等の領収書やレシートを整理保管しておきましょう。年末にどちらの制度を適用したほうが有利になるか確認し確定申告することをお奨めします。
 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   大庭 和夫  1級FP技能士

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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