2018年2月15日 「保険金の受け取りと確定申告」3つのポイント

 

確定申告の時期ですね。
昨年、怪我や病気で、保険金・給付金を受け取った方がおられると思いますが、受け取ったのが本人ではなく、奥様や子供だった場合、「これって所得になるの?」「確定申告が必要なの?」「医療費控除はどうなるの?」等、気になる事がありますね。
今回はこれらの点について3つのポイントをまとめました。

 

◆ポイント1:医療保険・がん保険の給付金は原則非課税

 入院給付金や通院給付金、高度障害保険金、リビング・ニーズ特約や、三大疾病保障保険から支払われる生前給付金、病気やケガが原因で所定の日数以上働けなくなったときに支給される、所得補償保険の保険金等、病気やケガを原因とする死亡を伴わない保険金・給付金は非課税です。

 例えば、旦那様が、がんにかかったとして、旦那様が保険金等を受け取らなくても、奥様もしくは子供や孫が、給付金を受け取るのであれば課税されません。

  受け取った入院給付金等を、夫の入院費や手術費に充てなければならないわけではありませんので、医療にかかった費用については、夫の財産から支払うことで全く問題ありません。

 つまり、奥様が、旦那様のガンの手術等、保険金を受け取っても、所得として確定申告する必要はありませんので、ご安心ください。


◆ポイント2:もらった給付金は医療費控除からマイナス!(ですが....)

 受け取った入院給付金等は基本的に非課税扱いとなり、確定申告の必要もありませんが、その代わり医療費控除の手続きをする場合は、受け取った給付金相当額をマイナスして計算しなければなりません。例えば、年間に支払った医療費等が100万円で、保険会社から受け取った給付金が370万円の場合は、30万円-370万円=0円(マイナスの場合は0円)となるので、医療費控除は受けられません。

 ただし、給付の原因になった医療費のみから差し引き、たとえ引ききれなくても、他の医療費から差し引く必要はありません。

 例えば、がんに対して支払われた保険金は、がんの治療として支払った医療費のみから差し引けばよく、他の病気やけがでかかった医療費から控除する必要はありません。

 もしも、がん保険や医療保険に加入していて、昨年1年間にかかったがんの治療費が100万円で、保険金を370万円受け取っていたとしても、他に歯の治療費が30万円かかっていたとしたら、歯科治療費から10万円を引いた20万円を医療費控除として確定申告することができます。


◆ポイント3:家族の中で税率が高い人が申告する

 もう1つ、たくさん取り戻すためのコツがあります。

 家族の中に税金を払っている人が複数いる場合には、収入が多く税率が高い人が医療費控除を受けると、戻ってくる金額も多くなります。所得税の税率は5~45%まで7段階あります。例えば、がん患者の奥様の税率が5%、夫が23%だったら、夫が医療費控除をした方が得ということになります。


 最後に、医療費控除はあくまで税金を払っている人の負担を減らすための制度なので、昨年、所得税を払っていない人は医療費控除を受けることはできません。
 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   植田 周司  CFP(R)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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