2017年11月16日  ビットコインの謎~詐欺か?革命か?

 

 最近「ビットコイン」がテレビ、新聞、雑誌等で話題になっている。聞かれたり読まれたりした方も多いのではないだろうか?
ビットコインはインターネット上で発行・取引される仮想通貨(デジタル通貨)の一つで、現段階では最大のシェアを持っている。ビットコインを扱っている店で買い物したり食事したりした時に現金やカードに代えて決済できる、海外送金が安価な手数料で、かつ時間を掛けずにできる、等でも話題になっているが、たぶん最も話題になっているのはその価格の乱高下ではないだろうか?今年の初めから、乱高下しながら約6倍に値上がりしているのである(10/25現在)。

 

出典:bitFlyer

 

 一時期は売買に中国人の占める割合が大きかったが、最近は日本人の割合が最も大きいと言われている(FX愛好者が多く参入しているらしい)。
 ビットコインはインターネット上に電子データとして存在しているだけで、国や中央銀行等の保証もなければ、金のように素材としての価値もない。それなのに何故こんなに高騰しているのだろうか?実はビットコインは、公開されたプログラムによって、発行のタイミングや量が規定されていると共に、管理コストが低廉にもかかわらず複製や詐取が事実上不可能な仕組みができあがっていて、この点については多くの専門家がお墨付きを与えて評価しているのだ。供給(発行)量が限られる中、需要が急速に拡大すれば必然的に値上がりする、というのがこの1年の状況ではないだろうか?


 一方で、急速な取引拡大への管理の仕組みの適応方式等を巡って、ビットコイン開発者や管理者の間で意見の違いが生じて、8月に分裂(ビットコインから「ビットコインキャッシュ」が分裂・誕生)、続いて昨日(10/24;本原稿は10/25に作成)には新通貨「ビットコインゴールド」が誕生した。また、11月にも新たな分裂が見込まれている。分裂というのは、仮想通貨取引管理の台帳が分岐することを言い、そこからは完全に別の通貨となる。つまり、現状、ビットコインを源流に、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールドと3種の仮想通貨が存在していることになる。そして仮想通貨はこの3つを含めて現在数百種類あると言われていて、今後どの仮想通貨が主導権を取るのか、併走を続けるのか、分からない。仮想通貨は何の裏付けも評価基準もなく需要と供給の上に価格形成が為されているので、もし需要がなくなれば、何の価値もなくなる。また、最近の中国の例のように、取引所の閉鎖等、国の施策の影響も受けやすい。


 金融界でも評価は分かれている。JPモルガンのCEOジェイミー・ダイモン氏は「ビットコインは本物ではない、いつかは終わる」とし、ビットコインを「詐欺」と断じたと報じられている。一方、ゴールドマン・サックスのCEOロイド・ブランクファイン氏はビットコインに好意的な見解を示し、ビットコインを金融商品と見なして売買仲介業務に乗り出す検討を始めたと報じられている。もっとも、ジェイミー・ダイモン氏も、技術と仮想通貨は分けて考えるべきとして、仮想通貨の基盤技術は評価している。この基盤技術は、世界的に幅広く評価されており、日本の金融界も含めて様々な実験的試みが進んでいる。10年後、今のビットコインがどうなっているかは分からないが、基盤技術はFintech随一の革命と評価されている可能性が高そうだ。今後の推移を見守りたい。 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   鈴木 康文  CFP(R)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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