2015/02/14 知っておきたい認知症の対応策

高齢化の進展と共に認知症になられる方が増加しています。認知症は、症状の進行を遅くすることはできても、治癒が困難という怖い病気です。今回は、認知症とその対応策等についてご紹介しましょう。


認知症とは?
 「昨日の夕食のメニューを思い出せない・・・。」歳をとると物忘れが多くなったりしますが、これは正常な老化現象です。

 しかし、一方で、食事をしたことの記憶自体が抜け落ちる場合があります。また、いつもの散歩道で道を迷ってしまうことも・・・。このような、今まで精神状態(脳の機能)が正常だった方が後天的に正常でなくなる状態を「認知症」といい、患者数が400万人を超えるといわれています。
 この認知症は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、ピック病、脳血管性認知症等に分類されますが、そのうちアルツハイマー型が約半数を占めています。
 

認知症の症状は?
 認知症に共通している症状(中核症状)としては、見当識障害(場所や日時、相手が分からなくなる)、記憶障害、認知機能障害(判断力や計算能力が低下する)があります。一方、特徴的な症状としては、アルツハイマー型では徘徊が、レビー小体型では幻視が、ピック病では性格変化や行動異常があげられます。
 認知症についてもっと知りたい方は、以下のホームページをご覧ください。

 イーローゴ・ネット
   http://www.e-65.net/
(公社)認知症の人と家族の会
   http://www.alzheimer.or.jp/

 

診断と治療は?
 診断は、まず長谷川式スケールやMMSテスト(いくつかのものを見せて、あとから何を見たかを聞くテストや、100 から7 ずつ引いていくテスト等があります)をしたり、CT、MRI、脳血流検査等によって判定します。
 認知症に対する治療薬はまだ開発されていませんが、症状悪化を遅くする薬(アルツハイマー型ではアリセプトやメマリー等)の処方や、症状緩和のための抗精神病薬の処方が行われるほか、グループホームで専門スタッフの援助を受けながら、残存能力を活用して共同生活をするケア療法等が行われています。
 

予防は?
 有酸素運動、知的行動習慣(いろいろなことに興味を持って実践する)、バランスの良い食習慣(特に野菜、果物や魚が重要です)が必要とされています。生活習慣病も治しておきたいものです。

 

認知症の方のサポート・・・いざというときの「成年後見制度」を覚えておこう
 認知症や精神障害等のために判断能力が不十分な人に代わって、法律行為(財産管理や身上監護)をすることにより本人の権利を守っていく制度で、現在、約18万人の方が活用しています。
 この制度には、判断能力が不十分になってから家庭裁判所の審判によって援助者を選任する「法定後見制度」と、判断能力が不十分になる前に本人があらかじめ援助者を決めておく「任意後見制度」があります。
 家庭裁判所への申立手続きが分からない場合は、以下のホームページをご覧ください。

裁判所(手続きの案内)
   http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_01/index.html
 

「おかしいな?」と思ったら
 少しでも「おかしいな?こんなことが分からない、できない・・・。」と思ったら、病院(精神科や神経内科。「物忘れ外来」といったソフトな名前の診療科を設けて、受診しやすくしている病院もあります。)で早めに受診すべきでしょう。認知症は早期発見、早期治療開始が重要です。また、家族だけで悩まずに、地域包括支援センター等にサポートを求めることも大事ですね。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 小林 徹 CFP(R)

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。


 

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