2017年9月17日  「遺産相続」が「遺産争族」にならないために  ~遺言書の重要性を学びましょう~

 

 遺産相続とは一般的に、亡くなった人の遺産をその配偶者や子供、あるいは孫が受け継ぐことをいいます。亡くなって遺産を相続される人を「被相続人」といい、遺産を受け取る人を「相続人」といいます。遺産相続は、時として親族間に骨肉の争いを引き起こし、大きな遺産争いが生じてしまうトラブルが多くあります。この遺産相続に関する紛争は様々なものがありますが、最も頻繁なのが、遺産(相続財産)をどのように配分するべきかに起因するトラブルです。

遺産相続において、法律(民法)では、誰が相続人となり、その相続人がどの程度の割合で遺産を受け継ぐかということを定めていますが、被相続人(亡くなった人)に対する貢献の程度や生前に受けていた恩恵の程度などによっては、法律の決まりには納得できないという人がでてきてしまうことがあります。こうしたことが遺産相続をめぐる紛争を引き起こし、「遺産争族」と揶揄されることがあります。

こうした遺産相続に関するトラブルを回避するために、被相続人は生前の意思を表示しておくことができる「遺言書」を残しておく必要があります。

多くの人が「遺言を書くほどの財産が無いから、、、」ということで遺言書を残さないことがあります。しかし、遺言書は財産の多い少ないに関わらず、相続手続きの必要書類になると同時に、自身の思いを、残された者に伝え理解してもらうという側面があり、多くのトラブルを解消できるのです。

 

◆遺言がなかったためのトラブル事例

夫を亡くしたAさん(65歳)には、子供がいません。

夫の両親は既に亡くなっています。夫は二人兄弟で、兄が生存しています。

夫の残した財産は、自宅(1500万円)と現金(500万円)です。

Aさんは夫の全財産(2000万円)を相続できるものと思っていましたが、遺言書はなく、また「全財産を妻(=Aさん)に相続させる」と遺言書を残していなかったために、法律に基づいて、法定相続分通り全財産の4分の1にあたる500万円が義兄の相続分となり、Aさんの相続分は1500万円となったのです。

 

 

亡くなった後に、残された大切な家族が相続トラブルに巻き込まれないためにも、必ず遺言書を残しておくことが重要と言えるのです。 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  AFP 左右木伸也

 

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