2017年9月1日 年金改正!これまで年金が受け取れなかった方も年金が受け取れるようになった

平成29年8月1日、老齢年金を受け取るために必要な受給資格期間が、25年から10年に改正されました。この改正によって、新たに年金受給者となる方はおよそ64万人にのぼるそうです。ただ、この改正は、嬉しいばかりの改正ではありません。注意点を見ていきましょう。 

 

◆受給要件の緩和ってどういうこと? 

これまで、老齢年金を受け取るためには、原則として年金制度に加入し、保険料を25年支払う必要がありました。ただ、この25年にも特例があり、厚生年金に加入している会社員の配偶者だったり、入っても入らなくてもどちらでもよかった任意加入の学生の期間など、資格期間に算入される特例がたくさんあります。また、年金の加入期間をかき集めても、どうしても25年に達しない人は、65歳以降、任意加入という方法で、保険料を払い続ける制度がありました。ただ、ほとんどの方は、65歳以降に、厳しい収入の中で、約16000円の保険料を支払い続けることが困難ということもあり、年金制度の不信感も手伝って、あまり65歳以降の加入は多くありませんでした。それが、10年なら満たすことができるだろうということで、何らかの方法を含めて年を満たすことで、年金の受給権が発生することとなったのです。 

 

◆年金を受給するために必要なこと 

年金の受給資格期間は、実際に保険料を払った時、合算対象期間、免除期間などいずれかの合計が10年あれば良いのですが、すでに申請は始まっています。受給権が発生するだろうという方には、すでに今年の2月から申請用紙が郵送で送られてきています。年金事務所では、既に事前申請も始まっています。予約していかなければ数時間待ちという状態にもなっていますので、年金ダイヤルでお近くの年金相談の窓口を予約していく方が無難でしょう。(*ねんきんダイヤル0570-05-1165

 

これで老後安泰というわけではない 

この改正でよく誤解されているようなのが、「これからは10年分だけ保険料を支払えば良いの?」という質問があるときです。今年の老齢基礎年金の満額受給額は779,300円。これは、国民年金の保険料を40年未納がなく払い続けて、やっと受け取れる金額です。ということは、10年しか払わなければ、この4分の1、すなわち、1ヶ月約16,000円程度の金額にしかならないということです。これでは、年金収入が老後の柱になりえません。改正されたと言っても、今後も40年支払い続けるということが大事だと言うのはいうまでもありません。また、10年支払って老齢年金の受給資格が発生したとしても、この受給権者が死亡や障害の状態になったとしても、遺族年金や障害年金の要件がそもそも緩和されたわけではありませんので、配偶者に加給年金や振替加算が加算されることも当然ありません。公的年金の目的である、「老齢、障害、遺族」のための年金とは言えなくなるわけです。

 

ただ、これまで年金を受け取れなかった方にとっては、1万円でも2万円の小遣い程度でもありがたいことに変わりはありません。ぜひ周囲の方に受け取り忘れがないか、確認してあげましょう。今回の改正で64万人の方が年金を受け取れるようになります。事前送付用が郵送されているのは、これまでの年金記録がしっかりと記録されている方ですので、これまで、「ダメだろう」と諦めていた人すべてに、郵送書類が送られているわけではありません。いわゆる『浮いた年金』問題も片付いてはいないのです。もし、あなたの周囲に年金を受け取っていない方がいるのならば、ぜひ今回の対象かどうかの声かけをしてあげましょう。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  當舎 緑 CFP(R)

 

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

この内容は2017年5月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。 

 

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