2016年7月25日 「購入後の住まいのコストを計画的に考えよう!」

 住宅を購入しようと考える人は、誰でも頭金の準備や住宅ローンの借り入れなど、入念な購入のための資金計画を立てます。ところが、意外に見落としているのが、住まいを所有する限り必要な、維持管理費や税金のことです。これからマンションや戸建てを購入しようと計画されている方も、すでに購入された方も、その維持管理費や税金についての知識は、家計を管理する際にとても大切です。今回は、この費用について考えていきましょう。

◆住宅購入後の維持費あれこれ

 マンション購入後の維持費といえば、日常的な維持管理のための管理費があります。また、修繕積立金として、中長期のマンションの点検・補修を行うために、長期修繕計画に基づいて必要な額を積み立てていきます。新築マンションの場合、販売会社によっては売りやすくするため、周辺のマンションの相場以上に、管理費・修繕積立金の金額を安く設定している場合があります。このような場合、入居後に大幅な値上げの可能性や大規模修繕の際に、多額の一時金の支払いが生じることもあり得ます。購入前には、必ず周辺の相場を調べて比較してみましょう。
 逆に、購入したマンションの管理費や修繕積立金が高い場合には、管理会社の変更を検討したり、インターネットや電気料金の契約方法などを、マンション全体で検討してみましょう。修繕工事は、複数の事業者から見積もりをとると、安くできる場合があります。一個人では難しいですが、マンションの管理組合が行う総会や理事会での決議により対応できます。他人事にせず、情報を集めるなど、積極的に組合に参加し、話し合うことにより、大幅な節約につながる好例でしょう。
 次に一戸建の場合の維持費です。一戸建てには、決まった管理費や修繕積立金はありませんが、修繕の必要な時期が必ずやってきます。外壁の塗装は10年を過ぎたら考える、防蟻工事(白あり対策)などの時期、工事の内容、業者の選定など自分自身の判断で管理する計画をたてましょう。例えば、1回の塗装工事で数十万円以上はかかります。必要なメンテナンスをある程度想定して、計画的に資金準備をしたいものです。定期的な点検やメンテナンスをすることにより、建物の寿命が延びて資産価値が高く維持されることになります。

 

◆税金も見逃せない費用!

 毎年1月1日時点で、土地や建物などの不動産を所有している人は、固定資産税と都市計画税を払わなければなりません。市区町村から送られてくる納税通知書により一括納付するか、年4回の指定月(通常は4月、7月、12月、翌年2月)に分けて納付することになっています。忘れないように年間の家計管理をしましょう。

 

 

◆住宅を購入した場合の特例と注意点とは

 住宅用地の固定資産税には、200㎡までは1/6に軽減されたり、都市計画税の負担が軽くなるなどの特例があります。(表の赤字部分が特例)

 

 

固定資産税

都市計画税

住宅用地

固定資産税課税標準額×1/6×1.4

*1戸当り200㎡超の部分は1/3

*住宅の床面積の10倍を超える部分

 は軽減なし

固定資産税課税標準額×1/3×0.3

*1戸当り200㎡超の部分は2/3

住宅(建物)

固定資産税課税標準額×1.4%×1/2

新築住宅の床面積120㎡以下の部分

<要件に該当する新築住宅の場合>

固定資産税課税標準額×0.3

   <軽減措置はない>

 

  

 また、平成28年3月31日(注:平成28年度税制改正で、平成30年3月31日まで2年間延長されました。)までに新築された居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下などの要件に該当する新築住宅の固定資産税は、一戸建ては取得後3年間、マンションなどは5年間、120㎡までの居住用部分が1/2に自動的に計算されて減額されます。ただし、認定長期優良住宅の場合は5年間、マンションなどは7年間減額されますので、住宅が新築された年の翌年1月31日までに自治体の税務課に忘れずに申告しましょう。

 

  ただ、ここで、ポイントです。特例期間終了後には税額が倍になります。急に税金がはね上がったと慌てる人は少なくありません。ちなみに、中古住宅を購入した場合は、固定資産税と都市計画税の軽減はありません。

 

 このように、住宅を購入した場合に始まるのは、住宅ローンの支払だけではありません。マンションの管理費や修繕積立金、戸建ての維持管理費、そして、固定資産税や都市計画税などの税金、また、直接の費用でないものの、付随費用として、火災保険や地震保険という保険料、自治会などの費用なども必要になります。予想される様々な費用を考慮して、あわてず計画的に家計管理することを心がけておきましょう。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 木村 道子CFP®

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2015年8月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

 

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