2016年7月01日 「空き家に対して固定資産税が増額になることが?」

<空き家に対して固定資産税が増額になることが?
    ~空家対策特別措置法に注目しよう>

 

 平成27年5月26日より、空家対策特別措置法が施行され、一定の空き家に対しては「固定資産税の増加(特例から除外)」や「公共団体による取り壊し(代執行)」などの措置が可能となりました。
今回はこの「空家対策特別措置法」について解説します。

 

 ◆空き家は年々増加している

 空き家は年々増加しており、平成5年には448万戸とされていましたが、20年後の平成25年には820万戸と、2倍近くに増加しました。また、住宅総数に占める空き家の割合も、平成5年には9.8%だったのが、20年後の平成25年には13.5%と増加しています。

 

 これらの空き家は、ゴミ投棄など衛生環境の悪化、火事・犯罪その他安全環境の悪化など、良好な生活環境を悪化させる一因となっているため、今回、「空家対策特別措置法」により、法的に対策を講じることになったのです。

 

 ◆空家対策特別措置法ってどんな法律?

 では、空家対策特別措置法とは、どのような法律でしょうか。
以下、簡単に6つの内容についてご説明しましょう。
(1)国・地方公共団体の計画策定
空き家の所有者が、適切な管理に努めるべきものと定められていますが、、所有者が適切な管理を行えない場合に備え、国(国土交通大臣・総務大臣)は、「空家対策の基本指針」を策定し、地方公共団体(市町村)はこれに即して「空家対策計画」を作成し、実行するよう努めるものとされました。
(2)空き家調査
空き家がある場合、市町村は所有者調査など必要な調査ができ、一定の場合は立ち入り調査ができることが定められました。
また、市町村により、空き家に関するデータベースの整備を進めることが定められました。
(3)所有者への情報提供・助言
市町村は、空き家の所有者に対し、情報の提供・助言などを行うこととされました。
(4)空き家の活用
市町村は、空き家に関する情報の提供など、活用のための対策を行うこととされました。
(5)特定空き家への措置
特定空き家(倒壊のおそれのある空き家・衛生上有害となるおそれのある空き家・著しく景観を損なっている空き家・生活環境の保全のために放置できない空き家)については、市町村は、所有者等に対して助言・指導・勧告・命令と段階を踏んで措置を行い、命令に従わないときは50万円以下の罰金と市町村の代執行(*)による取り壊しができるものとされました。
  *代執行:義務者が行うべき義務を行わない場合に、行政庁などが代わりに行う強制執行の一種。
(6)税制・補助
一般に、住宅用地については、固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1とする特例措置がとられており、空き家がそのまま放置される原因となっていることは否めません。ですから、特定空き家(倒壊のおそれのある空き家・衛生上有害となるおそれのある空き家・著しく景観を損なっている空き家・生活環境の保全のために放置できない空き家)の敷地については特例措置から除外することとされ、土地の固定資産税が実質増加するようになります。また、市町村は、空き家対策にかかる費用の補助制度を行うものとされました。

 

 ◆もし、空き家問題の当事者になったら

 このように、空家対策特別措置法や空家再生等推進事業で、空き家への様々な対策を行うことが定められましたが、その反面、固定資産税の増加や、罰則なども定められました。
超高齢社会の昨今、空き家問題の当事者になる可能性は誰にでも有り得ることです。そのようなときは、これらの空き家対策に精通した不動産会社やFPに早めに相談し、対策の検討を始めることが大切です。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 司法書士 野谷 邦宏

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2015年12月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。

 

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