2015/12/15 住宅ローン「繰り上げ返済」の効果と注意点

 住宅を購入するうえで、切っても切れない存在が住宅ローンです。
住宅ローンを借り入れするにあたり、いくらの利息を支払い、総額いくら返済するのかが最も気になるところといえるでしょう。
 例えば、借入金額3,000万円、金利2.0%、30年返済の住宅ローンを借り入れた場合、総返済金額は、約4,000万円(元金=借入金額:3,000万円、利息:1,000万円)。
利子だけで、約1,000万円を支払わなければならないのです。
 このような現実のもと、高額な住宅ローンの返済額(=利息の支払額)を抑える方法として有効なのが、「繰り上げ返済」です。今回は、返済予定表をもとに、繰り上げ返済を行った場合の効果と注意点についてお話します。

下記の返済予定表を例にみていきましょう。
【返済予定表】前提条件
○住宅ローン:借入金額3,000万円、金利2.0%、30年(=360ヶ月)返済、元利均等返済
○返済総額:約4,000万円 <<元金=借入金額:3,000万円、利息:1,000万円>>

 ここで、上記の返済予定表に関して語句を解説します。
・回数=総返済までの総回数。

毎月返済となりますので、30年×12ヶ月=360ヶ月⇒360回となります。

・返済額=毎月の支払返済額。
・元利均等返済=元金分+利息分=一定金額。

本返済予定表では、毎月の支払返済額は110,885円となります。

・利息分=借入残高から金利(年利)2.0%を月割りにして計算しています。
 1回目利息:借入残高30,000,000円×金利(年利)2.0%÷12ヶ月(月割り) ⇒ 50,000円
   2回目利息:借入残高29,939,115円×金利(年利)2.0%÷12ヶ月(月割り) ⇒ 49,898円

 結局、「借入残高」から利息を計算しているので、「借入残高」が少なければ、利息分も少なくなります。また「借入残高」は「元金分」を充当していくため、「元金分」が多ければ多いほど、「借入残高」は少なくなり、支払う利息も少なくなります。
 上記のように、300万円の繰り上げ返済を行った場合、約186万円の利息分を支払わなくてもよくなるのです。

 「繰り上げ返済」は、利息軽減効果が高く、非常に有効な手段といえます。
しかし、一方で繰り上げ返済にばかり気を取られて、手持ちの預貯金(=現金)を繰り上げ返済に充てすぎてしまい、その他の出費(自動車購入資金や教育資金など)に対して、結局、自動車ローンや教育ローンなど、住宅ローンより金利の高いローンを借り入れていたら、元も子もありませんね。

 繰り上げ返済の利息軽減効果は大変魅力的ですが、住宅ローンは何十年にもわたる長いお付き合いになるため、くれぐれも預貯金とのバランスを重視し、計画的に行っていただくことをお奨めします。
 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 左右木 伸也 AFP

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 この内容は2015年7月に相鉄不動産販売様のメルマガに掲載された内容を、同社のご了解を頂き掲載しています。


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