2015年12月01日 債券への課税強化と節税対策

ご存知ですか?来年からの税制改正。
2016年1月から、今まで非課税だった債券の売却益に20.315%の所得税がかかります。
知っている方も知らなかった方も、もし債券をお持ちの場合はしっかり節税対策をしましょう。

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そもそも債券とは?

 ここでいう債券とは、正確には公社債のことです。公社債は、発行体の違いによって、大きく3つに分けられます。

 「公共債」国、地方自治体および公共機関の発行
 「民間債」民間企業が発行する(いわゆる社債)
 「外国債」外国の政府・政府関係機関、事業会社が発行する(いわゆる外債)

さらに、公共債は「国債」、「地方債」、「政府関係機関債」に、また、民間債は「事業債」、「金融債」に分けられます。

 

◆公社債の含み益とは?

 公社債も金融商品として市場で売買されます。仮に、昔95万円で買った債券が、今の市場価格が100万円とすると、5万円の含み益があることになります。これを、今年中に売れば5万円の利益をまるまる手にすることができますが、来年1月に売ると、20.315%課税され、4万円弱の利益しか残らないことになります。

 つまり、大きな含み益が出ているものは、今年中に売却した方が良いといえます。特に外国債は、ここ数年の円安で大きな含み益が出ている場合がありますので、しっかりチェックしましょう。

 

◆来年も、もっと値上がりするかも?

 そんな時は、もう一度同じ債券を同じ額だけ購入しましょう。100万円で売却し100万円で買って、まったく意味のない事のように見えますが、以下のような例で考えてみるとよくわかります。
 先ほどの例で、95万円で買った債券が、仮に来年105万円まで値上がりしたところで売却したと仮定しましょう。何もしなかった場合は、105万円-95万円で10万円の売却益に対して20.315%の税金ですから、20,315円の所得税となります。
もし今年、一度100万円で売却して、再度100万円で購入した場合は、105万円-100万円で5万円の売却益に対して10,157円の所得税となり、10,000円以上節税となります。

 

◆注意したい外貨建てMMF

 今までは、外貨建てのMMFも公社債投資信託では譲渡差益に課税されない、という原則が適用され非課税でした。こちらも、来年からは売却益に対して20.315%課税されますので注意してください。外貨建てで外国株の売買をしている方は、知らないうちに外貨建てのMMFを所有してい場合がありますので一度確認しましょう。

 

◆含み損が出ていたら

 大きく含み益が出ている場合は、年内に売却をお勧めしましたが、含み損が出ていたらどうすればよいでしょうか?
 イメージ図でも気が付いた方がいらっしゃるかもしれませんが、来年から他の売却益や配当所得等と損益通算できるようになります。つまり、債券で含み損を抱えている方は年内に売却せず、来年まで持っていましょう。他の株式や投資信託の利益と損益通算できますので、損きりする大きなチャンスでもあります。

 

◆債券の税制改正まとめ

・大きく含み益が出ている債券(特に外国債)は年内に売却を検討してください。
・含み益が少ない場合は、売却時の手数料等各種コストを考慮し判断してください。
・含み損を抱えている方は、年内に損切しないよう注意してください。来年以降が損切のチャンス。

債券も明日の価格がどうなるかはだれもわかりませんが、債券の税制改正は確実に2016年1月から実施されます。 税制改正で損をしないよう賢く運用しましょう。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 植田 周司 AFP

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献することを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

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