2020年12月2日  情報ソムリエになろう

** 本稿は、「相場の神様からの伝言」(2019年9月15日コラム)の続きです **

 IT通信技術の革新的進歩により、今やあらゆる情報が市場空間を飛び回っています。今や、どこであろうとも起こったことが世界中に瞬時に伝わる時代、場所も時間も問わない、いわゆる24/7(「一日24時間一週7日間休みなし」)の世界です。聞きたくないニュースも役に立ちそうなニュースも否応なしに飛び込んできます。好きな時に、好きな場所で、好きなニュースを自分で取りに行くこともできます。これが情報のモビリティです。これぞIT技術と情報ツールのコモディティ化のおかげです。しかし使いこなせない人との情報格差は大きく拡大しているのも事実です。このような情報格差を感じている人に必要になるのが、今日のテーマである「情報ソムリエ」です。その背景について説明していきます。まず一番大事なことは・・・

 

◆重要な情報ほど沈殿する
 今やペーパーレス化の時代です。しかし相場のプロの世界では「重要情報は紙にもメールにもしない。すべて“口”ベース」といいます。デジタル化とは相反する言葉ですが、実際に高額の情報コンサルタントをしている金融市場の本場、NYの友人から聞いた話です。自由に情報が流せる時代だからこそ、直接会って話を交わすことで限られた人にしか伝えない秘匿性が価値を持ちます。それは政治情報に多く、政治の世界・米国ワシントンDCに人が集まるのはこのためです。まさにデジタルでなくアナログが生き続けている世界こそが情報の宝庫かもしれません。 そこで、出てきたのが・・・

 

◆知っていることは誰にも言うな。そして・・・
 この意味は、自分で発見した情報や技、また高いお金を払って得た価値ある情報は、実際に現金化(利食いを)するまで、しっかりと自分の手元から離さない、他人に漏らさないということです。欧米のディーラーたちは、一匹オオカミのごとく個人個人で闘っています。「知っていることは・・・」は、そこで出てきた言葉です。しかし実はこの後に隠された言葉がより重要です。それは「仕込みが済んだら情報を市場にばらまけ」です。
 この言葉は、この情報が出てきたら相場動向に影響を及ぼすだろうと考えた場合、ある程度仕込み(売りまたは買い)が終わった段階で「この理由で売買した」と表に出す、ヘッジファンド等プロの情報操作のことを意味します。一般の投資家は、この情報に接した時、慌てて市場に追随することになり、プロはその時に利食いを入れる操作をします。個人がなかなか利益が出ないのは、この一連の流れに乗れないことが大きな要因です。そこで出てきたのが、「相場を左右するほどのニュースが出たときはその相場の終盤戦」。この言葉の意味をしっかりと覚えておきたいものです。

 

◆情報はインテリジェンス
 情報ソムリエのもう一つの大きな役割は、世界全体で何が起こっているかが見えなくなる「木を見て森を見ず」状態を防ぐことです。ネットで情報を得る時、個々のニュースに気を取られがちです。しかし、本当に意味のある情報がどれだけ流れているだろうか? 価値ある情報が本当に取れているのだろうか? を考えることが重要で、そのためには、鳥の目で問題の全体像を把握する必要があります。この場合紙ベースの情報ソースも捨てがたいものです。そこで大事な点は、情報を「インフォメーション(Information)」とせず、「インテリジェンス(Intelligence)」と考えることです。すなわち、ニュースに接した時に、「なぜ今頃このようなニュース(発言)が流されているのか?」「この情報やニュースで得する人は誰か?」を考えることで、これがインテリジェンスの意味です。

 

◆情報をデータにするな
書かれていることを見て(読んで)、「なるほどそんなことが起こっているのか」とだけで終わってしまえば、それは情報でなく「データ」でしかありません。ニュースをただ漫然と追いかけている人ならばそれでいいかもしれません。しかし情報を仕事で活用したい、あるいは武器にしなければならない人はそれでは競争に勝てません。 そこで、情報をインテリジェンスとして活用するためのキーワードがあります。 それは・・・

 

◆「Who Said What?(誰が何を言ったか?)」


◆「ヘッドラインに気を付けろ!」
 情報洪水の時代、情報の軽重を瞬時に判断し行動するスピードが求められます。誰がこの記事を書いたか、今までと論調は違っていないか、を見極める必要があります。
一方、ヘッドラインは、記事の見出しやニュースの最初の言葉のことですが、往々にして真の情報を隠すために、記者のバイアス、偏見、誘導で書かれるケースがあります。あらゆる可能性を考えて、新聞記事やニュースを疑いの目で行間を読む習慣を持つことが大事です。先入観で判断しないことです。そうでなければ、繰り返しになりますが、情報は単なるデータとなってしまいます。情報感知力を高めるためにこの違いを見極める訓練が重要です。

 

◆情報ソムリエを持つ
 自分の狙う取引にふさわしい情報を探してくれる人~「情報ソムリエ」~は、情報理解力、市場との闘争力を高めるために大きな力になるはずです。まずは、自分のネットワークに世界情勢と、市場動向を知る情報ソムリエを持つことから始められたらいかがでしょうか。そしてそこで学びながら、自分が情報ソムリエになることを目指していくことが、資産運用にも大きく役立つものと考えています。

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   小池 正一郎 CFP®

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献するこ

とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

  

 

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